粗利益とは

粗利益とは?意味・計算式・粗利益率の目安をわかりやすく解説!

企業の経営分析でよく登場する「粗利益(そりえき)」。
ニュースや決算書で「粗利が増えた」「粗利益率が下がった」といった表現を耳にすることも多いですよね。
しかし、「結局、粗利益って何を意味しているの?」と疑問に思う方もいるでしょう。

この記事では、粗利益の意味・計算方法・粗利益率との関係、さらに営業利益との違いまで、会計初心者でもわかるように丁寧に解説します。

🔹 粗利益とは(意味)

粗利益とは、売上高から売上原価を差し引いた利益のことを指します。
正式名称は「売上総利益(うりあげそうりえき)」で、損益計算書(P/L)の最上部に記載される基本的な利益指標のひとつです。

💡 定義

粗利益(売上総利益)=売上高 − 売上原価

ここでいう「売上原価」とは、商品を仕入れたり製造したりするために直接かかった費用のこと。
つまり、販売によってどれだけ“純粋に稼げたか”を示す利益です。

🔹 粗利益の具体例

たとえば、次のようなケースを考えてみましょう。

  • 商品の販売価格:5,000円

  • 仕入原価:2,000円

この場合の粗利益は以下のように計算されます。

粗利益 = 5,000円 − 2,000円 = 3,000円

つまり、この商品1個あたりで3,000円の利益を得ていることになります。

🔹 粗利益率の計算式と見方

粗利益を売上高に対する割合で示したものが「粗利益率」です。
粗利益率を算出することで、商品や事業の収益性を比較することができます。

📊 計算式

粗利益率(%)= 粗利益 ÷ 売上高 × 100

先ほどの例で計算すると:

粗利益率 = 3,000 ÷ 5,000 × 100 = 60%

この場合、販売価格の60%が利益ということになります。
粗利益率が高いほど、少ない販売数量でも利益を確保しやすいビジネスモデルです。

🔹 粗利益率が高い・低い商品の特徴

粗利益率 特徴
高い 少量販売でも採算が取れる 高級ブランド品、専門サービス
低い 大量販売で利益を確保する スーパーの食品、量販店の商品

たとえば、コンビニやスーパーのように「薄利多売」の業種は粗利益率が低めです。
一方で、ブランド品や美容サービスのように「付加価値」で価格を高める業種は粗利益率が高い傾向にあります。

🔹 粗利益と営業利益の違い

粗利益は「販売した商品でどれだけ稼げたか」を示す指標ですが、人件費・広告費・家賃などの費用はまだ差し引かれていません。
これらの販売費および一般管理費(販管費)を差し引いたものが「営業利益」です。

指標 計算式 意味
粗利益 売上高 − 売上原価 商品・サービスの販売による基本的な利益
営業利益 粗利益 − 販売費・一般管理費 本業のもうけを示す利益

つまり、粗利益は「スタート地点の利益」であり、営業利益は「本業で実際に残る利益」といえます。

🔹 粗利益を改善するには?

企業が利益を増やすには、次の2つの方向があります。

  1. 売上を増やす
     → 商品単価を上げる、販売数を増やす、新しい顧客層を開拓する。

  2. 原価を下げる
     → 仕入先の見直し、生産効率の向上、在庫管理の最適化など。

特に製造業や小売業では、「原価率の見直し」が粗利益率改善の大きなカギとなります。

🔹 まとめ:粗利益は「企業の稼ぐ力」を示す重要な指標

粗利益(売上総利益)は、企業がどれだけ効率的に収益を上げているかを判断する最初の指標です。
粗利益率を定期的にチェックすることで、価格設定やコスト構造の改善点が見えてきます。

さらに参照してください:

売上割引とは?仕訳例・売上値引や仕入割引との違いまで徹底解説