工場や大型機械の導入工事、プラント建設の現場では、予測不能な事故が起きることもあります。
そんな万が一に備えるのが「組立保険(くみたてほけん)」です。
この記事では、組立保険の基本的な仕組みから補償の対象、活用シーン、他の工事保険との違いまでをやさしく解説します。
🔍 組立保険とは?
組立保険とは、機械設備や鋼構造物などの据え付け・組み立て工事中に発生した偶然な事故による損害を補償する保険のことです。
たとえば、大型の製造機械を工場内に設置する際や、発電所のタービンを組み立てるときなどに、次のような事故が起こることがあります。
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クレーン操作ミスによる機械の破損
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配管接続中の部品落下
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組立途中の構造物の倒壊や転倒 など
これらの予測困難な突発的事故によって、組み立て中の対象物に損害が生じた場合、その損害をカバーしてくれるのが組立保険です。
✅ 補償の対象となる事故や損害
組立保険がカバーするのは、以下のような「不測かつ突発的な事故」による損害です。
補償対象の一例 | 説明 |
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据え付け中の機械の落下や衝突 | クレーンの誤作動、固定不良などによる事故 |
火災・爆発 | 工事中の溶接作業などが原因 |
盗難や破損 | 一時的な保管中に起こるケースも含む |
自然災害(限定的) | 強風による倒壊や落雷など、一定条件下で補償対象に |
💡ポイント:施工業者や発注者の過失があっても、「故意でなければ補償される」点が組立保険の特徴です。
🏗️ どんな現場で使われるの?
組立保険は、以下のような大型設備工事や機械設置工事で活用されます。
例1|食品工場への新型自動包装機の導入
機械の搬入から据え付け、試運転までの期間に事故が発生した場合、機械本体や設置作業に関わる損害が補償されます。
例2|発電所におけるタービンの組立工事
重量物の取り扱いや高所作業があるため、転倒や衝突などのリスクが高く、保険加入がほぼ必須です。
💡 建設工事保険との違いは?
「工事現場の保険」といえば、「建設工事保険」もよく耳にします。
この2つの保険は似ていますが、補償の対象となる工事内容が異なります。
比較項目 | 組立保険 | 建設工事保険 |
---|---|---|
主な対象 | 機械設備の据付・組立 | 建物の建設・土木工事 |
代表的な補償対象 | タービン、発電機、製造機械など | ビル、住宅、橋、道路など |
主な契約者 | 機械メーカー、プラント業者 | ゼネコン、建設会社 |
つまり、機械や装置を中心としたプロジェクトには「組立保険」、**建物やインフラの建設には「建設工事保険」**が適している、という住み分けになります。
📝 加入のタイミングと注意点
加入のタイミング:
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工事開始前の契約が基本です。
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契約期間は「工事の開始から試運転終了まで」が一般的。
注意点:
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補償範囲や免責金額(自己負担額)は契約内容によって異なる
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地震や津波など、一部の自然災害はオプション補償になることがある
加入前に、保険会社や代理店とよく相談することが重要です。
✅ まとめ|組立保険は設備工事に不可欠な備え
組立保険は、機械設備や鋼構造物の据え付け・組立工事中に生じた不測の損害に備える重要な保険です。
万が一の事故による高額な損害から企業や施工主を守るだけでなく、スムーズな事業進行のためにも欠かせない存在といえるでしょう。
工事現場ごとのリスクに応じて、最適な補償内容を設計し、必要に応じてオプションも含めて準備することが大切です。
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