給与とは

給与とは?意味・構成・支払いルールをわかりやすく解説

企業で働く人にとって欠かせない「給与(きゅうよ)」。
一見すると単に「毎月もらうお金」というイメージですが、実は法律上の定義や支払いルール、構成要素などが明確に決まっています。

この記事では、給与の基本的な意味から、支払いの仕組み、そして構成要素(基本給や手当)までを、初心者にもわかりやすく解説します。

給与とは?

給与とは、雇用契約に基づいて雇用主が従業員に支払う「労働の対価」のことを指します。
つまり、働いた時間や成果に応じて支払われる報酬です。

労働基準法第24条では、給与は毎月1回以上、一定の日に支払うことが義務付けられています。
したがって、たとえ「年俸制」を採用している場合でも、年1回まとめて支払うことはできず、毎月分割して支払う必要があります。

給与の支払い形態

給与の支払い形態には、次のような種類があります。

  • 月給制:毎月決まった金額を支給(会社員に最も一般的)

  • 日給制:勤務した日数に応じて支給

  • 時給制:勤務時間に応じて支給(パート・アルバイトなど)

  • 年俸制:1年分の給与をあらかじめ決め、12回などに分けて支給

  • 日払い制:その日の労働に対して日ごとに支給(短期雇用など)

給与は原則として現金で支払うことが定められていますが、労働協定などにより、銀行振込や現物支給(社宅や食事など)が認められる場合もあります。

給与と源泉徴収の関係

給与には、所得税や社会保険料などが差し引かれて支払われる仕組みがあります。
これを「源泉徴収制度」と呼びます。

給与を支払う会社(=雇用主)は、従業員に給与を渡す際に所得税などを天引き(控除)し、その分を国に納付します。
この天引き額と実際に納めるべき税額の差を年末に調整するのが「年末調整」です。

給与の構成要素

一般的に、給与は基本給と各種手当で構成されています。
企業ごとの就業規則によって細かな内容は異なりますが、主な項目は以下の通りです。

1. 基本給

基本給とは、給与の中心となる部分であり、職務内容や経験、年齢などによって決まります。
基本給の算定方法には次のようなタイプがあります。

  • 属人給:年齢や勤続年数など、個人の属性によって決まる(例:年功序列型)

  • 仕事給:担当する職務や業務の内容によって決まる(例:職務給制度)

  • 総合給:属人給と仕事給を組み合わせた形

2. 各種手当

企業は、従業員の生活環境や職務内容に応じてさまざまな手当を支給します。主なものは次の通りです。

  • 役職手当:課長・部長など役職者に支給

  • 家族手当:扶養家族がいる従業員に支給

  • 通勤手当:通勤にかかる交通費を補助

  • 住宅手当:家賃負担を軽減するための手当

  • 資格手当:業務上有利な資格を持つ人に支給

  • 残業手当(割増賃金):法定労働時間を超えて働いた場合に支給

企業によってはこれらに加えて「精勤手当」「食事手当」「地域手当」などを設けている場合もあります。

給与に関する注意点

給与について知っておくべき重要なポイントは次の3つです。

  1. 給与の支払い日は会社が自由に決められるが、毎月1回以上でなければならない。

  2. 給与の天引き(社会保険料・所得税)は法律に基づいて行われる。

  3. 給与明細書には、支給額と控除額の内訳を明示する必要がある。

また、給与に関するトラブルを防ぐためにも、就業規則や雇用契約書の内容をよく確認することが大切です。

まとめ:給与の仕組みを理解して自分の労働条件を守ろう

給与とは、単なる「お給料」ではなく、労働契約・法律・税制などが密接に関係する仕組みの上で成り立っています。
基本給や手当の内容、源泉徴収の仕組みを理解しておくことで、自分の働き方を正しく把握し、トラブルを防ぐことができます。

もし給与計算や源泉徴収の内容に疑問がある場合は、会社の人事部門や税理士に相談するのがおすすめです。

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