厚生年金の制度を調べていると「総報酬制(そうほうしゅうせい)」という言葉を目にする方も多いのではないでしょうか。
「月給だけじゃなくボーナスも保険料に含まれるの?」と疑問を持つ方も少なくありません。
この記事では、総報酬制の仕組みや導入の背景、メリット・デメリットについて、初心者の方にもわかりやすく解説します。
総報酬制とは?
総報酬制とは、厚生年金の保険料や年金額を計算する際に、月給だけでなくボーナスも含めて算定する仕組みです。
従来は「標準報酬月額」に基づいて計算されていたため、ボーナスの有無や金額によって負担や給付に不公平が生じやすい状況がありました。
総報酬制の導入によって、この不公平が是正され、より実際の収入に応じた保険料と給付が行われるようになりました。
導入の背景
総報酬制は 2003年(平成16年)改正の年金制度から導入されました。
2003年度までは「標準報酬月額」に基づいて保険料を算定していたため、ボーナスに対しては一律の定額保険料しか徴収されていませんでした。
しかし、ボーナスの割合が大きい業種・職種では「負担が少ないのに将来の給付も少ない」という不公平が生じていました。
この不公平をなくすために、2003年4月から総報酬制が導入され、月給とボーナスを合わせた「総報酬」を基準に保険料を計算する仕組みとなったのです。
保険料率の推移
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導入当初:厚生年金保険料率は 13.58%(月給+ボーナスに適用)
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その後:毎年 0.354%ずつ引き上げ
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2017年(平成29年)9月:最終的に 18.3% で固定
現在は、月給とボーナスの両方に対して 一律18.3% が適用されています。
総報酬制のメリット
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公平性の向上
月給とボーナスを合わせて計算するため、収入全体に応じた保険料負担となります。 -
将来の年金額が増える可能性
ボーナスも反映されるため、総収入が高い人は年金額が増えるメリットがあります。 -
透明性の向上
実際の収入に比例して保険料と給付が決まるため、制度への納得感が高まります。
デメリットもある?
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ボーナスが多い年は、その分保険料の負担も増える
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一方で、ボーナスが少ない業種の人はメリットを感じにくい
ただし、年金制度全体の公平性を考えると、総報酬制は必要な仕組みといえます。
まとめ
総報酬制とは、厚生年金の保険料や給付を「月給+ボーナス」の総収入に基づいて算出する仕組みです。
2003年から導入され、2017年以降は保険料率18.3%で固定されています。
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公平性が高まり
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将来の年金額も収入に応じて増える
という点が大きな特徴です。
「自分の年金額がどう決まるのか」を理解する上で、総報酬制はとても重要なポイントです。ぜひ知識として押さえておきましょう。
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