企業の資金調達と聞くと、多くの人は「銀行から借りる」「株式を発行する」といった“外部からの資金調達”をイメージします。しかし、企業が安定的に成長していくうえで欠かせないのが、自社が稼いだ利益を使ってまかなう『自己金融』です。
この記事では、自己金融の意味やメリット、どんな場面で役立つのかを、会計の初心者でも理解しやすいように整理して解説します。
自己金融とは?
自己金融とは、企業が事業で得た利益の一部を内部に留保し、その資金を使って経営に必要な資金を自力で賄うことです。
・外部の投資家に株式を買ってもらう
・銀行から借入を行う
こういった外部調達とは異なり、自社で稼いだお金だけで資金を確保する内側からの調達方法というのがポイントです。
自己金融の具体的な中身
自己金融と聞くと「利益の貯金」のイメージが強いですが、実はそれだけではありません。
代表的なものは次の二つです。
・利益の内部留保
・減価償却費など、現金の支払いを伴わない留保資金
減価償却費は「現金は減らないのに費用として計上できる」タイプの会計処理なので、その分だけ企業にキャッシュが残ります。これも自己金融として大切な役割を果たします。
自己金融が重要視される理由
自己金融には、企業の安定運営や投資活動にとって欠かせないメリットがあります。
1 急な損失や不況への備えになる
内部留保は企業の“バッファ”として機能します。
景気悪化や取引先の倒産など、不測の事態が起きてもすぐに倒れない体力を持てるようになります。
2 設備投資や事業拡大の原資になる
新しい工場の建設、機械の入れ替え、新サービスの開発など、企業が成長していくためにはまとまった資金が必要です。自己金融で蓄えた資金なら、利子や返済義務もなく、柔軟に投資へ回すことが可能です。
3 利子や配当の負担がない
銀行借入には利息、株主からの資金調達には配当という“コスト”が発生します。
しかし自己金融で調達した資金には、こうしたコストが一切ありません。ここが企業にとって非常に大きなメリットです。
自己金融と株主への配分のバランス
企業が利益を得た場合、そのすべてを内部に残せるわけではありません。株主には配当、社員には賞与という形で還元が必要です。
それらを差し引いた後に残る資金が社内留保(内部留保)であり、企業の自己金融に回されます。
内部留保が健全にあれば、企業は外部環境に左右されず安定した経営ができるようになります。
まとめ
自己金融とは、企業が事業で得た利益や減価償却費を活用し、外部に頼らず自力で資金を調達する方法です。
・不況に強い経営基盤づくり
・設備投資や事業拡大の原資確保
・利子や配当の負担がない資金調達
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