被用者保険とは

被用者保険とは?会社員が加入する健康保険の仕組みをわかりやすく解説

「被用者保険(ひようしゃほけん)」は、会社員や公務員といった被雇用者が加入する公的医療保険制度の一つです。
日本の社会保険制度を理解するうえで欠かせない基本用語ですが、似た言葉が多く「自営業者の国民健康保険と何が違うの?」と混乱する方も少なくありません。

この記事では、被用者保険の仕組み・種類・扶養制度の特徴 を初心者にもわかりやすく解説します。

被用者保険とは?

被用者保険とは、会社などに雇用されて働く人(被用者)が加入する健康保険制度 のことです。
自営業者やフリーランスが加入する「国民健康保険」と対比されることが多く、会社員・公務員の医療保障の基盤となっています。

被用者保険には、主に次のような種類があります。

  • 全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)
     中小企業に勤める会社員が主に加入

  • 組合管掌健康保険
     大企業や業界団体が運営する健康保険組合に所属する社員が加入

  • 共済組合
     国家公務員・地方公務員・私立学校教職員などが加入

 

被用者保険の特徴

被用者保険には、自営業者向けの国民健康保険にはない大きな特徴があります。

1. 保険料を会社と折半

保険料は、加入者本人と勤務先(会社)が折半して負担 します。
これにより、同じ収入でも国民健康保険よりも自己負担額が少なく済むケースがあります。

2. 扶養制度がある

被用者保険では、被扶養者(配偶者や子どもなど) が一定の条件を満たせば、保険料を支払わずに保険に加入 できます。
例えば、専業主婦(夫)や収入が少ない子どもは、扶養に入ることで医療費の保障を受けられます。

👉 自営業者の国民健康保険には扶養の仕組みがなく、家族全員がそれぞれ保険料を負担する必要があります。

3. 傷病手当金や出産手当金がある

被用者保険の大きなメリットのひとつが、所得補償の制度 です。

  • 病気やケガで働けないときに支給される 傷病手当金

  • 出産前後に給与が支払われない期間に受け取れる 出産手当金

国民健康保険にはない保障のため、会社員や公務員の大きな安心材料となっています。

被用者保険と国民健康保険の違い(比較)

項目 被用者保険 国民健康保険
対象 会社員、公務員 自営業者、フリーランス、無職など
保険料 会社と本人が折半 加入者が全額負担
扶養制度 あり(保険料負担なし) なし(家族ごとに保険料発生)
給付制度 傷病手当金・出産手当金あり 原則なし

具体例で理解する「被用者保険」

例:会社員のAさん(年収400万円)が、専業主婦の妻と小学生の子ども2人を扶養している場合。

  • Aさん本人の保険料は 会社と折半

  • 妻と子どもは 収入が基準以下のため扶養に入り、保険料は0円

  • 家族全員が同じ保険証を利用できる

一方、自営業のBさんが同じ条件だと、妻・子どももそれぞれ国民健康保険料を負担 する必要があります。

まとめ

  • 被用者保険とは、会社員や公務員が加入する健康保険制度

  • 協会けんぽ、組合健保、共済組合などの種類がある

  • 保険料は会社と折半、さらに 扶養制度や手当金制度が充実

  • 国民健康保険との大きな違いは「扶養の有無」と「所得補償の制度」

被用者保険は、医療費の自己負担を抑えるだけでなく、生活を支える制度として重要な役割を果たしています。
会社員や公務員として働く方だけでなく、その家族にとっても安心の制度といえるでしょう。

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