「買った製品が原因でケガをした」「使った商品で火災が起きた」――
こうしたトラブルが起きたとき、消費者を守るために制定された法律が**製造物責任法(PL法)**です。
この記事では、「製造物責任法とは何か?」をテーマに、その内容やポイント、適用されるケース、企業や消費者が知っておきたいことをわかりやすく解説します。
✅ 製造物責任法とは?
製造物責任法(PL法)とは、製造物の欠陥によって人の生命・身体・財産に損害が生じた場合に、製造業者などが損害賠償責任を負うことを定めた法律です。
正式名称は「製造物責任法(平成6年法律第85号)」で、1995年(平成7年)7月に施行されました。
この法律により、消費者は過失の有無にかかわらず損害賠償を求めることが可能になり、製品トラブルに対する保護が大きく強化されました。
🏷 PL法の「PL」は何の略?
「PL法」の「PL」は、英語で「Product Liability(プロダクト・ライアビリティ)」の略です。
直訳すると「製品責任」という意味で、製造業者が提供した製品に欠陥があり、それが原因で被害が出た場合の責任を意味します。
⚖ 法律が定める責任の内容
製造物責任法では、以下のような場合に製造業者等が賠償責任を負うとされています。
● 損害の対象
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生命や身体の被害(例:ケガ、火傷、死亡など)
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財産の被害(例:家具や建物の損傷など)
※製品自体の損害(例:スマホが壊れた等)は対象外となる場合があります。
🔍 PL法の対象となる「製造物」とは?
PL法における「製造物」は、以下のような**動産(物理的な製品)**を指します。
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家電製品(例:電子レンジ、洗濯機)
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食品・飲料
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自動車やバイク
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医薬品・化粧品
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玩具やベビー用品 など
また、一定の条件下で、部品や材料も製造物として扱われます。
❗ 製造物責任が問われる3つの「欠陥」
製造物責任法では、次のような欠陥が原因で被害が発生した場合、製造業者等に賠償責任が発生します。
欠陥の種類 | 内容の説明 |
---|---|
設計上の欠陥 | 設計自体に問題があり、安全性が確保されていない |
製造上の欠陥 | 製造工程で不具合が発生した製品が流通した |
表示上の欠陥 | 取扱説明書や警告表示が不十分で、安全な使用ができない |
▶ 例:表示上の欠陥の事例
食品にアレルゲン(卵や乳成分など)の表示がなく、アレルギー反応を引き起こした場合、表示上の欠陥とみなされる可能性があります。
🧑⚖️ 消費者が知っておきたいこと
製造物責任法は、消費者保護の観点から非常に重要な法律です。
以下の点を理解しておくと、万が一のときにスムーズに対応できます。
● 消費者が証明すべきことは3つ
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製品に「欠陥」があったこと
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その欠陥が「損害」を引き起こしたこと
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製品を「通常の使い方」で使用していたこと
※製造業者側に過失があったかどうかは問われません。
🛡 企業側の対策:PL保険の活用
製造業者や販売業者にとって、製造物責任法は非常に重要なリスク管理課題です。
そのため、多くの企業は「PL保険(生産物賠償責任保険)」に加入しています。
これは、製品の欠陥によって発生した損害賠償責任をカバーする法人向け保険です。
✅ まとめ|製造物責任法は「消費者の安全」と「企業の責任」を明確にする法律
製造物責任法は、製品の欠陥が原因で人や財産に被害が及んだ場合に、製造業者等が責任を負うことを定めた法律です。
消費者にとっては「安心して製品を使える社会」を実現するための重要なルールであり、企業にとっては「製品の安全性確保と誠実な対応」が求められる法的義務でもあります。
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