製品や商品が原因で事故が発生した場合、誰がその責任を負うのでしょうか?
それを明確にするのが「製造物責任(せいぞうぶつせきにん)」という考え方です。
この記事では、製造物責任の意味や背景となる法律、具体的な事故例、企業が備えるべき保険についてわかりやすく解説します。
✅ 製造物責任とは?
製造物責任とは、製品の欠陥によって、人の生命・身体・財産に被害が生じた場合に、製造業者などが負う損害賠償責任のことを指します。
この責任は、「製造物責任法(通称:PL法)」という法律に基づいて定められています。
⚖ 製造物責任法(PL法)の概要
● PL法とは?
1995年に施行された「製造物責任法(Product Liability Act)」は、製品の欠陥が原因で発生した被害について、製造業者等の過失が証明されなくても賠償責任を負うことを定めた法律です。
● 対象となる事業者
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製造業者
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加工業者
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輸入業者
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自社ブランドで販売する販売業者(OEM等)
🔍 どんな場合に製造物責任が問われる?
以下のようなケースでは、PL法に基づく製造物責任が発生する可能性があります。
事例 | 欠陥の内容 | 被害 |
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電気ストーブの部品不良により発火 | 設計上の欠陥 | 家屋の焼失 |
ベビーカーのブレーキ機能に不具合 | 製造上の欠陥 | 乳児の転倒事故 |
食品にアレルゲン表示がなかった | 表示上の欠陥 | アレルギー発症 |
製造物責任には、次の3つの「欠陥」の種類があります:
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設計上の欠陥:製品の設計自体に問題がある
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製造上の欠陥:製造工程で不具合が発生した
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表示上の欠陥:取扱説明や警告表示が不十分
💬 製造物責任が企業に与える影響とは?
製品事故が発生し、企業が製造物責任を問われた場合、以下のような影響が考えられます。
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高額な損害賠償請求(数千万円~億単位になることも)
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製品回収(リコール)にかかる費用と労力
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社会的信用の低下や企業イメージの悪化
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SNS等での炎上による風評被害
そのため、製造・販売を行う企業は、日頃から製品の安全管理や品質保証に万全を期す必要があります。
🛡 製造物責任への備え|PL保険(生産物賠償責任保険)
製造物責任のリスクに備える方法として、企業が活用しているのが「PL保険(生産物賠償責任保険)」です。
● PL保険とは?
製品の欠陥によって発生した第三者への損害(人身・物損)に対する損害賠償金や訴訟費用をカバーする法人向け保険です。
● 主な補償対象
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顧客が製品の不具合でけがをした場合の治療費や慰謝料
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製品が原因で火災が発生した場合の修理費や損害補償
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損害賠償請求を受けた際の弁護士費用や示談交渉費用
✅ まとめ|製造物責任は「過失がなくても責任が問われる」時代
製造物責任とは、製品の欠陥によって他人に被害を与えた場合に、製造業者等が損害賠償責任を負う制度です。
現代では、品質の高さだけでなく、安全性や表示の正確さが求められています。
そして「過失がなくても責任を負う」ことがあるため、企業は常に製品リスクに備える必要があります。
PL保険などのリスク対策を講じることで、万が一のトラブルにも迅速に対応できる体制づくりが大切です。
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