企業の生産設備が「どれだけ効率よく利益を生み出しているか」を測る重要な指標が設備投資効率です。
この記事では、会計・経理の初心者でも理解しやすいように、設備投資効率の意味・計算方法・目安・上げる方法を、実例を交えながらわかりやすく解説します。
設備投資効率とは?基本の考え方
設備投資効率とは、企業が保有する生産設備(機械・建物などの有形固定資産)が、どれだけの付加価値を生み出しているかを示す経営指標です。
簡単に言えば、「会社の設備が、どのくらい利益を生み出しているか」を測るもの。
この数値が高いほど、投資した設備を効率的に活用できているといえます。
一方、設備投資効率が低い場合は、生産性の低下や資産の過剰保有などが疑われ、経営改善の余地があると判断されます。
設備投資効率の計算方法
設備投資効率は次の計算式で求められます:
設備投資効率(%)= 付加価値額 ÷ 有形固定資産 × 100
● 付加価値額とは?
付加価値額とは、企業が生産活動によって新たに生み出した価値のことです。
次の式で求めることができます。
付加価値額 = 人件費 + 賃借料 + 租税公課 + 営業利益
または簡便的に、
付加価値額 = 売上高 − 費用合計 + 給与合計 + 租税公課
などでも算出できます。
● 有形固定資産とは?
「有形固定資産」とは、会社が長期的に保有・使用する資産(建物・機械・土地など)です。
このとき、建設仮勘定を除いた金額を使い、期首と期末の平均値を用いるのが一般的です。
減価償却などによって期末の資産額が変動するため、平均値を取ることでより実態に近い数値が得られます。
設備投資効率の目安(平均値)
財務省の「法人企業統計」によると、2022年度の業種別平均値は以下の通りです:
-
全業種平均:66.1%
-
製造業:78.2%
-
非製造業:62.7%
製造業では設備の稼働率が高いため、非製造業よりも効率が高い傾向があります。
自社の設備投資効率を評価する際は、同業他社の平均値を参考にすると良いでしょう。
設備投資効率を上げるには?3つの改善アプローチ
設備投資効率を改善するには、「分子(付加価値)」を増やすか、「分母(有形固定資産)」を減らすかの2方向からアプローチします。
① 営業利益を伸ばす(付加価値額を増やす)
付加価値を増やす最も現実的な方法は、営業利益を高めることです。
具体的には:
-
販路拡大による売上アップ
-
原価率の見直し
-
不要な販管費(広告・人件費など)の削減
などが効果的です。
② 不要な設備を処分・リース化する(資産の圧縮)
使われていない古い機械や遊休資産が多い企業は、設備効率が下がりがちです。
不要な固定資産を整理し、必要な設備のみを保有することで、投資効率を高められます。
また、購入ではなくリースやクラウド型システムの導入も有効です。
③ 設備の老朽化を防ぐ(メンテナンス管理)
設備年齢(機械の使用年数)が上がると、故障や品質低下によって生産性が下がります。
定期的な点検・修繕を行い、設備を最適な状態に保つことが大切です。
必要に応じて、新設備への入れ替えも検討しましょう。
設備投資効率を経営改善に活かそう
設備投資効率は、単なる会計指標ではなく、経営の健康状態を測るバロメーターです。
「投資した資産がどのくらい利益を生み出しているのか?」を定期的に確認することで、無駄のない経営判断が可能になります。
たとえば:
-
設備が過剰になっていないか?
-
投資回収が順調に進んでいるか?
-
生産性に対してコストが見合っているか?
といった経営判断に役立ちます。
まとめ:設備投資効率で企業の資産活用力を見える化しよう
設備投資効率を把握することで、企業の生産設備の活用度合いや経営効率を客観的に評価できます。
特に中小企業では、限られた資金をどう投資・運用するかが業績に直結するため、定期的な分析が不可欠です。
✅ ポイントまとめ
設備投資効率 = 付加価値額 ÷ 有形固定資産 × 100
平均値の目安は全業種で約66%
営業利益の改善や設備の見直しで効率アップ!
経営分析や財務戦略の一環として、ぜひ自社の「設備投資効率」を定期的に確認してみましょう。
さらに参照してください:

