資金移動業とは、銀行以外の事業者が小口の送金サービスを提供できる制度のことです。
キャッシュレス化が進む中で重要性が高まり、多くのオンラインサービスで活用されています。
この記事では、資金移動業の意味や仕組みを、初心者にもわかりやすく解説します。
資金移動業とは(読み方:しきんいどうぎょう)
資金移動業とは、銀行以外の事業者が、政令で定められた少額の範囲内で為替取引(送金サービス)を提供できる業態のことです。2009年の資金決済法施行により創設され、キャッシュレス決済の普及に合わせて現代の決済インフラを支える重要な制度となっています。
簡単にいえば、銀行口座を介さずに「お金を送る仕組み」を提供できる民間サービスの総称です。
資金移動業の代表的なサービス例
資金移動業は、私たちの生活のさまざまな場面で利用されています。身近な例としては以下のようなサービスがあります。
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スマホの送金サービス(PayPay、楽天キャッシュなど)
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フリマアプリの残高管理・出金機能(メルカリ、PayPayフリマなど)
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オンラインゲームやアプリ内ウォレット
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Webサービスの売上管理・振込機能
特にオンライン決済や個人間送金(P2P送金)の普及により、資金移動業者の役割は年々大きくなっています。
資金移動業の仕組み
資金移動業者は、ユーザーから預かった資金を銀行に「保全」しながら、安全に送金サービスを提供します。銀行のように預金を受け入れることはできませんが、少額の送金を迅速に行えるよう、仕組みが設計されています。
主な特徴
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1回あたりの送金上限が決まっている(規制により上限あり)
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預かった資金は銀行への供託などにより保全が義務付けられる
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金融庁への登録が必要で、厳格な運営ルールが定められている
銀行ほどの大規模な金融サービスではないものの、柔軟で使いやすい送金手段を提供できる点が特徴です。
なぜ資金移動業が重要なのか
キャッシュレス決済が普及する現代において、資金移動業の存在は不可欠です。銀行だけでは対応が難しい細かなニーズや、オンラインサービス特有の決済フローに柔軟に対応できるためです。
例:ECサイトやアプリ運営者のケース
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売上を一度アプリ内残高にチャージ
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一定額以上になったら銀行口座へ振込
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ユーザー同士で残高を送金可能
こうした仕組みがスムーズに動くのは、資金移動業者の役割があってこそです。
資金移動業の注意点(事業者向け)
事業者が資金移動業を活用する場合、以下のポイントを理解しておく必要があります。
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送金上限があるため、高額取引が多いサービスには向かない
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資金保全義務により資金管理が厳格に求められる
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金融庁のガイドラインに従った運用が必要
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決済代行とは役割が異なるため、導入時に適切な設計が必要
決済インフラに関わる制度のため、導入は専門家との相談が推奨されます。
まとめ
資金移動業とは、銀行以外の事業者が小口送金サービスを提供できる制度で、オンライン決済・個人間送金・アプリ内残高管理などに広く活用されています。キャッシュレス化が進む現代において、ユーザーと事業者双方にとって重要な仕組みです。導入を検討する際は、決済手段ごとの特徴や法的要件を理解することが欠かせません。
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