自動車保険や火災保険など、モノを対象とする保険には「保険金額」を設定します。
しかし、この保険金額が対象物の実際の価値を大きく上回ると「超過保険(ちょうかほけん)」となり、契約の一部または全部が無効になる場合があります。
この記事では、超過保険の意味や禁止されている理由、実際の事例、注意点をわかりやすくご紹介します。
超過保険とは?
超過保険とは、契約時に設定した保険金額が、保険の対象物の実際の価値(時価)を超える状態の保険契約のことです。
例
300万円の車に対して、1,000万円の保険金額で契約した場合
→ この差額(超過部分)は、契約者の意思にかかわらず無効となります。
なぜ超過保険は禁止されているのか?
保険の基本的な役割は「損害を補償すること」です。
もし保険金が損害額を超えると、契約者は事故や災害で利益を得ることになってしまい、保険本来の趣旨に反します。
これを利得禁止の原則といい、法律や保険約款で明確に定められています。
実際にあったケース
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火災保険の例
築10年の木造住宅(時価2,000万円)に対して、保険金額を4,000万円で契約。火災で全焼したが、実際に支払われたのは2,000万円まで。差額は無効とされた。 -
自動車保険の例
中古車(時価150万円)に対して、保険金額を500万円で設定しても、事故時には時価150万円までしか補償されない。
超過保険になる原因
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対象物の価値を正しく把握していない
特に中古品や長年使用している財産は、購入価格と現在の価値が大きく異なる場合があります。 -
「高く契約すれば安心」と思い込む
実際は、保険金額を高く設定しても超過分は受け取れません。 -
複数契約による重複
同じ対象物に複数の保険契約を結び、合計額が実際の価値を超えるケースもあります(この場合は重複保険と呼び、また別の扱いになります)。
超過保険を避けるためのポイント
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契約前に対象物の**時価(現在の価値)**を確認する
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保険会社や代理店と適正な保険金額を相談する
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契約内容を定期的に見直し、価値の変動に合わせて更新する
まとめ
超過保険は「高く契約すれば多く受け取れる」という誤解から生まれがちですが、実際には超過部分は無効です。
保険はあくまで損害を補償するものであり、利益を得るためのものではありません。契約時には対象物の価値を正しく見積もり、適正な保険金額で加入しましょう。
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