会社員や公務員など、厚生年金に加入している人が亡くなった場合、その遺族に支給されるのが「遺族厚生年金(いぞくこうせいねんきん)」です。
遺族年金の中でも対象範囲が広く、遺族基礎年金と組み合わせて支給されるケースもあります。
この記事では、遺族厚生年金の仕組みや受給要件、対象者について初心者にもわかりやすく解説します。
遺族厚生年金とは?
遺族厚生年金とは、厚生年金に加入していた人が死亡した際に、その人に生計を維持されていた遺族へ支給される年金です。
対象となる遺族は、配偶者、子、父母、孫、祖父母であり、夫や父母・祖父母については「55歳以上であること」が条件、実際の受給開始は60歳からとなります。
ただし夫については、遺族基礎年金を受給中であれば60歳前でも遺族厚生年金を受け取ることが可能です。
遺族厚生年金を受け取れるケース(支給要件)
遺族厚生年金が支給されるのは、次のいずれかに該当する場合です。
-
在職中に死亡した場合
-
在職中に初診日のある病気やけがが原因で、初診日から5年以内に死亡した場合
-
障害等級1級または2級に該当する障害厚生年金の受給者が死亡した場合
-
受給資格期間が25年以上ある人が死亡した場合
-
老齢年金と異なり、10年ではなく25年以上の資格期間が必要です。
-
このうち (1)(2)(3) を「短期要件」、(4) を「長期要件」と呼び、年金額の計算方法に違いがあります。
遺族基礎年金との関係
死亡した人に生計を維持されていたのが「子のある配偶者」や「子」である場合には、遺族厚生年金に加えて遺族基礎年金もあわせて受け取ることができます。
-
子とは「18歳の誕生日を迎えた年度末まで」または「20歳未満で1級・2級の障害がある未婚の子」が対象です。
-
ただし子が死亡した人の配偶者に生計を維持されている場合、遺族基礎年金は支給停止となります。
保険料納付要件に注意
特に (1) 在職中に死亡した場合、(2) 初診日から5年以内に死亡した場合 には、死亡した人が国民年金の保険料納付要件を満たしている必要があります。
これは遺族基礎年金と同様で、
-
加入期間のうち3分の1以上で保険料を滞納していないこと
-
または直近1年間に保険料の未納がないこと(令和8年4月前の死亡の場合)
が条件です。
具体例で理解する遺族厚生年金
例えば、会社員の夫が在職中に亡くなり、妻と中学生の子が残された場合:
-
妻は 遺族厚生年金 を受け取れる
-
さらに「子のある配偶者」にあたるため、遺族基礎年金 もあわせて受け取れる
このように、遺族厚生年金は遺族基礎年金と組み合わせて支給されることで、残された家族の生活を支える役割を果たします。
まとめ
遺族厚生年金は、厚生年金に加入していた人が亡くなったときに遺族を守るための制度です。
-
支給要件は「短期要件」と「長期要件」に分かれる
-
対象者は配偶者や子、条件付きで父母・祖父母・孫も含まれる
-
子のある配偶者や子は、遺族基礎年金と併給できる
家族の生活を守る大切な制度だからこそ、条件や仕組みを正しく理解して備えておくことが重要です。
さらに参照してください: