重複保険契約(ちょうふくほけんけいやく)**とは、同じ対象(被保険利益)に対して複数の保険契約を結んでいる状態を指します。
一見「保険をたくさんかければ、その分保険金が多くもらえるのでは?」と思われがちですが、実際にはそう簡単な話ではありません。むしろ保険制度の仕組み上、制限や調整が入ります。
重複保険の2つの意味
重複保険には広義と狭義の2種類の定義があります。
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広義の重複保険
同一の被保険利益(対象や価値)について複数の保険契約がある状態。 -
狭義の重複保険
複数契約の保険金額の合計が、再調達価額(同等品を再購入するのに必要な金額)や時価を超えてしまっている状態。
なぜ問題になるのか?
仮に、1,000万円の価値のある建物に、A社で1,000万円、B社でも1,000万円の火災保険をかけたとします。
火災で全焼しても、建物の価値は1,000万円なので、両社から合計2,000万円を受け取ることはできません。
このように必要以上の保険金を受け取ることは保険制度の趣旨に反するため、各保険会社は次のような対応を取ります。
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契約時に重複保険の有無を通知する義務
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保険事故発生時には保険金の按分(減額調整)
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一定条件下では契約そのものを締結できないこともある
実務での注意点
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火災保険や自動車保険で、別の会社でも似た補償を契約しているケースは珍しくありません
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クレジットカード付帯保険や団体保険など、意図せず重複していることもあります
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保険金請求時に初めて「重複契約だった」と気づく例もあります
重複保険契約の例
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火災保険
マンション購入時に管理組合加入の火災保険があるのに、個人でも同内容の保険を契約 -
自動車保険
個人契約と勤務先契約の両方で同じ車両に車両保険をかける -
海外旅行保険
クレジットカード付帯と別途契約が同時に効いている
まとめ
重複保険契約は、無駄な保険料負担や保険金の減額につながる可能性があります。
契約前に必ず既存の保険内容を確認し、**「同じ対象に重ねて契約していないか」**を意識しましょう。
不安がある場合は、加入予定の保険会社や代理店に事前相談することが大切です。
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