「関税(かんぜい)」とは、輸出入の際に政府が課す税金のことです。国際取引を行ううえで欠かせないこの税金には、国家の収入確保だけでなく、自国産業を守るという重要な役割もあります。
この記事では、関税の基本から、輸入関税・輸出関税の違い、さらには保護関税の考え方まで、会計や経済の初心者にもわかりやすく解説します。
関税の基本:そもそも何のためにあるのか?
関税とは、国をまたいで物品を輸出・輸入する際に課される税金です。
大きく分けると次の2種類があります。
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輸入関税(輸入時に課される税金)
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輸出関税(輸出時に課される税金)
日本では「輸出関税制度」はほとんど採用されておらず、主に「輸入関税」が運用されています。
関税の目的は大きく2つあります。
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国家の税収を確保する「財政関税」
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国内産業を守るための「保護関税」
つまり、関税は単なる税金ではなく、国の経済政策の一部として重要な役割を果たしているのです。
輸入関税とは?日本の関税の中心的な仕組み
輸入関税は、海外から物品を日本へ輸入する際に課される税金です。
例えば以下のようなケースが対象となります。
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海外にしか存在しない製品を輸入する場合
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国内製品より品質が高い製品を輸入する場合
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海外から輸入した方が安く入手できる場合
関税が高く設定されると、輸入品の価格が上昇します。その結果、海外製品の価格競争力が低下し、国内産業が守られるという仕組みです。
これが「保護関税」の基本的な考え方になります。
ただし、過度な関税の引き上げは貿易の停滞を招くおそれがあります。そのため、世界的には「関税及び貿易に関する一般協定(GATT)」が1947年に締結され、1995年からは「世界貿易機関(WTO)」によってそのルールが引き継がれています。
現在の日本では、工業製品に対する関税率は比較的低い水準にありますが、農産物など一部品目には高い関税が設定されています。
輸出関税とは?資源国での税収確保の仕組み
輸出関税は、物品を海外へ輸出する際に輸出国が課す税金です。
これは主に、資源国(石油・天然ガス・レアメタルなど)が自国資源を守りながら税収を確保するために用いられます。
例えば、資源を無制限に輸出してしまうと、国内の資源が枯渇し、価格の安定も難しくなります。
そのため、輸出関税をかけて輸出量を調整し、資源価格の維持や計画的利用を図ることが目的です。
日本ではこうした輸出関税制度は一般的ではありませんが、資源輸出国では重要な財政手段のひとつとされています。
保護関税の考え方と問題点
関税を高く設定することで、国内産業は海外製品との価格競争から守られます。
しかし、過度に保護すると次のような問題が生じます。
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国産品の価格が下がらず、消費者の負担が増える
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国内企業が競争力を失い、成長しにくくなる
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国際的な貿易摩擦が起こりやすくなる
そのため、多くの国では「関税率の調整」と「輸入数量制限」などの政策を組み合わせて、バランスを取りながら産業保護と国際競争力の両立を目指しています。
まとめ:関税は「国を守るための税」
関税は単なる税収手段ではなく、国際経済における「防御と調整のツール」です。
日本では主に輸入関税が使われ、国際ルール(WTO)に基づいて慎重に運用されています。
世界の貿易関係は日々変化しており、関税政策は今後も経済や外交の重要なテーマであり続けるでしょう。
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