企業の収益力を分析するうえで欠かせないのが「限界利益」です。
限界利益を理解することで、会社がどのくらい売上を伸ばせば利益を確保できるのか、損益分岐点をどのように下げられるのかを把握できます。
本記事では、限界利益の意味や計算方法、限界利益率の考え方、そして営業利益・粗利・貢献利益との違いをわかりやすく解説します。
限界利益とは
限界利益とは、売上高から変動費を差し引いた金額のことです。
変動費とは、売上に応じて増減する費用を指します。たとえば、原材料費や販売手数料などがこれにあたります。
限界利益は、会社の売上活動によってどれだけの利益が生まれているかを把握するための重要な指標です。
この金額が大きいほど、企業の収益力が高いことを意味します。
限界利益の計算方法
限界利益は次の式で求められます。
限界利益 = 売上高 − 変動費
たとえば、売上高が200万円、変動費が100万円の場合、限界利益は100万円です。
限界利益には、固定費と最終的な利益の両方が含まれており、ここから固定費を差し引くと営業利益が算出されます。
限界利益率とは
限界利益率とは、売上高のうち限界利益がどの程度を占めているかを示す指標です。
計算式は以下の通りです。
限界利益率(%)= 限界利益 ÷ 売上高 × 100
先ほどの例で、限界利益100万円・売上高200万円の場合、限界利益率は50%になります。
限界利益率が高いほど、売上の増加がそのまま利益の増加につながる構造となります。
損益分岐点との関係
限界利益率は、損益分岐点を求める際にも使われます。
損益分岐点 = 固定費 ÷ 限界利益率
損益分岐点とは、企業が「利益ゼロ」になる売上高のことです。
限界利益率を上げる、または固定費を下げることで、損益分岐点を引き下げることができ、黒字化しやすくなります。
限界利益でわかること
限界利益を分析することで、次のような点を把握できます。
-
商品・サービスごとの採算性
-
どの程度の売上で固定費を回収できるか
-
売上を増やすか、費用を削減すべきかの判断基準
限界利益がマイナスの場合は、事業そのものが赤字構造にあるため、価格設定やコスト削減などの見直しが必要です。
限界利益と他の利益との違い
営業利益との違い
営業利益は、企業が本業で稼いだ利益を示すもので、
売上高 −(変動費 + 固定費)で求められます。
一方、限界利益は固定費を含まないため、営業利益を算出する前段階の指標です。
粗利(売上総利益)との違い
粗利とは、売上高から売上原価を引いた利益のことです。
売上原価には、仕入や製造にかかるコストが含まれます。
限界利益が「変動費」に着目しているのに対し、粗利は「売上原価」に焦点を当てており、費用の範囲が異なります。
貢献利益との違い
貢献利益は、商品・サービス、または部門ごとの利益を示す指標です。
計算式は以下の通りです。
貢献利益 = 売上高 − 変動費 − 直接固定費
限界利益が会社全体の収益構造を把握するためのものなのに対し、貢献利益は部門単位や製品単位の採算分析に用いられます。
まとめ:限界利益を理解して経営判断に活かそう
限界利益は、企業の収益構造を理解するうえで欠かせない指標です。
限界利益や限界利益率を分析することで、どのくらいの売上が必要か、固定費や変動費をどのように改善すべきかが明確になります。
経営判断を行う際には、損益分岐点や貢献利益などと合わせて確認することが重要です。
さらに参照してください:

