会社員や公務員などが加入する厚生年金や健康保険では、保険料を計算する基準として「標準報酬月額(ひょうじゅんほうしゅうげつがく)」が使われています。
この標準報酬月額は、基本的に年に1回の「定時決定」で見直されますが、大きな給与変動があった場合には途中で修正が必要です。これを「随時改定(ずいじかいてい)」と呼び、手続きには「月額変更届(げつがくへんこうとどけ)」を提出します。
随時改定とは?
随時改定とは、被保険者の給与(報酬)が大きく変わったときに、標準報酬月額を見直して保険料を適正にする制度です。
例えば、
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昇給や降給
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時間外手当の大幅な増減
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固定的賃金(基本給や手当)の変更
といったケースで、給与が一定の基準を超えて変動した場合に適用されます。
随時改定の条件(3要件)
随時改定が行われるのは、以下の 3つの条件 をすべて満たした場合です。
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固定的賃金に変動があったこと
(例:基本給の改定、通勤手当の増減など) -
変動月から継続して3か月間の報酬を平均した額 が、従前の標準報酬月額と比べて2等級以上の差があること
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その平均額に基づく標準報酬月額が適用されること
つまり「給与が一時的に増えた/減った」だけでは対象にならず、3か月以上の継続的な変動であることがポイントです。
月額変更届とは?
「月額変更届」とは、随時改定の対象となった被保険者について、事業主(会社)が年金事務所に提出する書類のことです。
提出の流れ
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給与に変動があった従業員について、3か月分の報酬を確認
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標準報酬月額を計算し直す
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月額変更届を年金事務所に提出
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翌月から新しい標準報酬月額に基づき、厚生年金保険料・健康保険料が決定
随時改定の具体例
例:従業員Aさんのケース
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4月に昇給 → 基本給が20万円から25万円へ
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4月〜6月の3か月間の報酬平均が24万8,000円
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以前の標準報酬月額(20万円相当)と比べて 2等級以上の差 がある
この場合、7月から新しい標準報酬月額が適用され、保険料も変更されます。
随時改定を行う理由
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保険料を適正な額にするため
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将来の年金給付額を正しく反映させるため
もし随時改定をせずに本来より低い標準報酬月額のままだと、将来の年金額が実際の給与水準より少なく計算されるリスクもあります。そのため、随時改定は加入者のための大切な制度なのです。
まとめ
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随時改定 とは、給与が大きく変動したときに標準報酬月額を見直す仕組み。
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手続きには会社が 「月額変更届」 を年金事務所に提出する。
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条件は「固定的賃金の変動」「3か月平均の報酬」「2等級以上の差」。
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正しい標準報酬月額にすることで、保険料も将来の年金額も適正になる。
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