「障害厚生年金(しょうがいこうせいねんきん)」という言葉を耳にしたことがあっても、その内容や受け取れる条件をしっかり理解している方は少ないかもしれません。
本記事では、障害厚生年金とは何か、受給できる条件、等級ごとの支給内容、注意点などを初心者にもわかりやすく解説します。
✅ 障害厚生年金とは?
障害厚生年金とは、厚生年金に加入していた人が、加入中に病気やケガで障害状態になったときに支給される年金のことです。
これは公的年金制度の一部であり、会社員や公務員など、厚生年金保険に加入していた人が対象になります。
✅ 支給の対象者と条件
障害厚生年金を受け取るには、次のような3つの条件を満たしている必要があります。
① 厚生年金に加入していたこと
受給対象となるのは、障害の原因となる病気やケガが発生した当時、厚生年金に加入していた人に限られます。自営業や専業主婦など、国民年金のみの加入者は対象外です。
② 障害認定日と等級
障害認定日において、障害の状態が1級・2級・3級のいずれかに該当している必要があります。
✅ 障害等級の概要
1級:日常生活に全面的な介助が必要
2級:日常生活に著しい制限がある
3級:労働に制限が出る程度の障害(厚生年金のみ対象)
※国民年金の「障害基礎年金」では3級はなく、1級・2級のみです。
③ 保険料納付要件
障害の原因となった病気やケガの初診日の時点で、一定期間以上の年金保険料を納めていることが条件です。
✅ 支給される年金額の目安
障害厚生年金の支給額は、加入期間中の報酬額(給与)や保険料納付期間によって異なります。
例:年収500万円の会社員の場合(障害等級2級)
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障害厚生年金:年間 約60万円〜100万円程度
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※これに加え、20歳未満の子どもがいる場合は加算あり
💡なお、1級の場合は2級の1.25倍の金額、3級は最低保証額あり。
✅ 実際のシチュエーション例
例1:勤務中に脳出血を起こして半身麻痺に
厚生年金に加入していた会社員Aさんが、勤務中に脳出血で倒れ、後遺症として半身麻痺に。障害認定日に2級と診断され、障害厚生年金と障害基礎年金を受給。
例2:通勤中の交通事故で失明
通勤中の事故で視力をほとんど失ったBさん。3級に該当し、障害厚生年金のみ支給。
✅ 障害厚生年金と障害基礎年金の違いは?
比較項目 | 障害厚生年金 | 障害基礎年金 |
---|---|---|
加入制度 | 厚生年金 | 国民年金 |
対象等級 | 1~3級 | 1~2級のみ |
支給金額 | 報酬比例 | 定額 |
加算 | 配偶者・子の加算あり | 子の加算あり |
つまり、厚生年金に加入していた人は、状況によって「障害基礎年金+障害厚生年金」の両方を受け取れる可能性があります。
✅ 手続きに必要な書類と流れ
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年金事務所での相談・申請書類の取得
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医師の診断書の取得(指定の様式あり)
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初診証明書の取得(受診歴の証明)
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書類を提出し、審査を受ける
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認定されると年金支給が開始
⏱️ 審査には数ヶ月かかる場合もあるため、早めの準備がおすすめです。
✅ 注意点とポイント
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3級は障害厚生年金でしか認定されない
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障害の程度が軽くなると、支給停止・減額の可能性もあり
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受給中でも年1回の「障害状態確認届(診断書)」提出が必要な場合あり
✅ まとめ|働く世代の障害に備える大切な制度
障害厚生年金は、働く世代が事故や病気で生活に支障をきたした際に、経済的な支えとなる重要な制度です。
厚生年金に加入している方は、「いざというときに自分が対象になるか」「必要な手続きは何か」を知っておくことで、不安を減らすことができます。
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