企業や個人事業主にとって「雑収入」という勘定科目は、日常の会計処理で頻繁に登場します。
しかし、雑収入の正しい意味や、雑所得・事業所得との違いを理解していないと、仕訳や確定申告でミスを招くことがあります。
この記事では、雑収入の概要から仕訳例、税法上の取り扱いまで、初心者でもわかるよう丁寧に解説します。
雑収入とは?
雑収入とは、会社や個人事業の本業以外で得られる収入のうち、他の勘定科目に分類できない収入を計上する科目です。
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営業外収益の一部
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金額的に重要でない収入
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本業に付随するが売上高に含めない収入
雑収入の具体例
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作業くずや副産物の売却収入
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駐車場や自販機の設置による収入
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補助金・助成金の受け取り
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損害賠償金や保険金の受け取り
注意:不動産収入が本業の場合は雑収入ではなく売上高に分類します。
雑収入と雑所得の違い
個人事業主の場合、所得は10種類に区分されます。その中で雑所得は、利子所得・配当所得・事業所得などに該当しない収入です。
| 所得区分 | 例 |
|---|---|
| 雑所得 | 国民年金、税金の還付加算金など |
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雑収入:本業に付随する収入(事業所得に含まれる)
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雑所得:本業以外で、他の所得に当てはまらない収入
雑所得は青色申告の対象外で、控除額や所得税額に影響する場合があります。
雑収入と事業所得の関係
事業所得の中で、本業の売上以外の収入が雑収入です。
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製造業の例:
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製品の販売 → 売上高
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製造過程で出た作業くずの販売 → 雑収入
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青色申告決算書では、売上高と雑収入をまとめて「売上(収入)金額」として表示します。
雑収入の仕訳例
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作業くずの売却
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受け取った現金:10万円
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| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 現金 100,000円 | 雑収入 100,000円 |
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持続化給付金の受取り
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事業用普通預金に振り込まれた金額:100万円
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| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 普通預金 1,000,000円 | 雑収入 1,000,000円 |
仕訳時は、補助科目や摘要を活用して内容を明確にしておくと、後の確認がスムーズです。
雑収入の税法上の取り扱い
消費税の課税対象
雑収入は基本的に消費税課税対象です。取引に対価がある場合は課税されます。
例:作業くずの売却 → 対価を得ているため課税対象
課税対象外の場合
国や自治体からの給付金、補助金など、対価を提供していない場合は非課税です。
例:持続化給付金 → 課税対象外
雑収入と雑所得の誤認による影響
雑所得で処理すると青色申告特別控除(最大65万円)が受けられず、所得税額が高くなる可能性があります。
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例:
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本業収入50万円
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雑収入(付随収入)15万円
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青色申告特別控除65万円
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| 処理 | 所得金額 |
|---|---|
| 雑収入で処理 | 0円(税金なし) |
| 雑所得で処理 | 15万円(税金発生) |
正しく雑収入として計上することで、節税効果を得られる場合があります。
まとめ
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雑収入は本業に付随する収入で、事業所得に含まれる
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個人事業主は雑所得と混同しないよう注意が必要
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消費税の課税・非課税を正しく判断する
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仕訳や帳簿付けを正確に行うことで、所得税計算や確定申告がスムーズになる
雑収入の理解は、所得計算や節税にも直結します。正しい知識を身につけ、帳簿や確定申告でミスを防ぎましょう。
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