「火事で家が焼けてしまった…」
「台風で車が壊れた」
「家に空き巣が入って貴重品を盗まれた」
そんな万が一の事態で損害を受けたとき、税金の負担を軽くする制度があるのをご存じでしょうか?
それが**雑損控除(ざっそんこうじょ)**です。
本記事では、雑損控除の対象や計算方法、申請時の注意点などを初心者向けにわかりやすく解説します。
✅ 雑損控除とは?
雑損控除とは、災害・盗難・横領などによって自宅や家財などに被害を受けた場合に、一定の損失額を所得から控除できる制度です。
つまり、「被害にあった人が、その年の所得に応じて税金の負担を軽減できる」という救済措置の一つです。
🧾 対象になる損害と資産
● 対象となる損害の例
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火災・風水害・落雷・地震・雪害などの自然災害
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空き巣・強盗などの盗難
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詐欺・業務上横領などによる損害
● 控除の対象となる資産
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納税者本人または同一生計の親族が所有する資産
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日常生活に通常必要な資産
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例:自宅、家具、衣類、自家用車 など
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⚠️ 控除の対象外となるもの
事業用資産
切手や宝石などの「生活に通常必要でない資産」
損害保険などで補填された分は対象になりません
🧮 雑損控除の計算方法
控除額は、以下の2つのうちいずれか大きい方となります。
【1】差引損失額 - 総所得金額等 × 10%
【2】災害関連支出額 - 5万円
差引損失額 = 損害額+災害関連支出-保険金などの補填額
💡 具体例でわかる雑損控除
たとえば、台風の被害で自宅の屋根が壊れ、修理に50万円かかった場合を考えてみましょう。
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損害額:50万円
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補填額(保険金):20万円
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総所得金額:400万円
このときの差引損失額は、50万円 − 20万円 = 30万円
そして、
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総所得の10% = 40万円
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差引損失額 − 総所得の10% = 30万円 − 40万円 = −10万円(控除不可)
一方、【2】の災害関連支出(修理費用30万円)−5万円 = 25万円
このように、差引損失額が少なくても、【2】の式が有利であれば控除対象になります。
👥 控除を受けられる人の条件
雑損控除を受けられるのは、以下のすべてを満たす人です。
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被害を受けた資産の所有者が納税者本人または同一生計の親族であること
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その年の総所得金額等が38万円超であること(所得税が発生していること)
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被害が雑損控除の対象である災害・盗難・横領等であること
📝 雑損控除の手続き方法
控除を受けるには、確定申告が必要です。
▼ 提出書類
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所得税の確定申告書
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損害を証明する資料(被害状況の写真、罹災証明書、修理見積書など)
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保険金の支払い通知書など(補填金額がわかる資料)
※申告書には、被害の内容、損害額、災害の発生日などを記載します。
✅ 雑損控除と他の控除の違い
控除名 | 対象 | 控除額の上限 |
---|---|---|
雑損控除 | 災害・盗難・横領による損害 | 制限なし(損害額に応じる) |
医療費控除 | 医療費 | 年間200万円まで |
寄付金控除 | 寄付した金額 | 所得の40%まで |
🚨 注意点まとめ
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事業用資産や贅沢品は対象外
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保険金や見舞金で補填された分は差し引く
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確定申告が必要
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控除できるのは実際に支払った損害のみ
📚 まとめ|雑損控除は万が一の損失を少しでも取り戻すための制度
自然災害や盗難は、誰にでも起こりうる「想定外のトラブル」です。
そんな時に税金の一部が戻ってくる可能性がある雑損控除は、知っておいて損のない制度です。
被害を受けたら、感情的にならず冷静に被害状況を記録・保管し、必要書類を整えて確定申告に備えましょう。
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