経営をしていると、「会社は黒字なのに倒産した」という話を耳にすることがあります。
これは 「黒字倒産」 と呼ばれる現象です。損益計算書上は利益が出ているのに、手元の資金不足で経営が立ち行かなくなる、という少し不思議なケースです。
この記事では、黒字倒産の仕組みや原因、具体例、そして防ぐための対策まで、初心者でも理解できるように丁寧に解説します。
黒字倒産とは?
黒字倒産とは、損益計算書(P/L)上では黒字であるにも関わらず、現金(キャッシュ)が不足して資金ショートを起こし、倒産することを指します。
例えば、どれだけ売上を上げても、売掛金の回収が遅れれば手元に現金が入らず、経営に必要な支払いができなくなります。
これにより、利益が出ているにも関わらず倒産する、という状況が発生するのです。
黒字倒産が起こる原因
黒字倒産の主な原因は、利益とキャッシュのタイミングのズレです。
具体的には以下のようなケースが考えられます。
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売掛金の回収遅れ
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売上は計上されているが、顧客からの入金が遅れる
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買掛金の支払い期限が早い
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支払うべき資金が手元にないまま、支払い義務が発生
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急成長による資金需要の急増
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売上は伸びているが、仕入れや設備投資の支出も増え、現金が追いつかない
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大口取引先への依存
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主要顧客からの入金が遅れると、資金繰りが一気に悪化
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特に、急成長企業や信用取引が多い業種では、利益とキャッシュの差が大きくなりやすく、黒字倒産のリスクが高まります。
黒字倒産の具体例
例えば、ある会社のケースを見てみましょう。
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売上計上:1,000万円
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売掛金回収:半年後
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支払期限:仕入れ先への支払いは翌月
損益計算書上は利益が出ているように見えますが、実際の現金はまだ入っていません。
その間に支払期限が来てしまうと、手元資金が足りず支払いができなくなります。
結果、黒字でありながら倒産リスクに直面するのです。
黒字倒産を防ぐ方法
黒字倒産を防ぐには、資金繰り(キャッシュフロー)を意識した経営が重要です。具体的には以下の対策があります。
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資金繰り表の作成
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入金と出金のタイミングを明確化し、必要資金を事前に把握
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取引先の分散
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大口顧客1社に依存せず、複数の取引先と取引
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過大な借入の回避
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借入に頼りすぎると利息負担が増え、キャッシュフローを圧迫
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売掛金の早期回収
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回収条件の見直しや前受金制度の活用で資金を確保
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まとめ
黒字倒産は、損益計算書だけでは見えない キャッシュフローの問題 が原因で起こります。
利益が出ていても、資金繰りが悪ければ会社は倒産のリスクにさらされます。
資金繰り表の作成や取引先分散、売掛金の管理など、現金の動きをしっかり把握する経営が、黒字倒産を防ぐために欠かせません。
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