欠損金とは

欠損金とは?仕組み・繰越控除・具体例まで会計の専門家がわかりやすく解説

企業経営において、「欠損金(けっそんきん)」は税務上とても重要な概念です。特に中小企業の経営者や経理担当者にとって、欠損金の取り扱いを理解することは節税の観点からも欠かせません。 この記事では、法人税法上の定義から繰越控除制度の活用方法、実務でよくあるケースまで、専門家が初心者にもわかりやすく解説します。 欠損金とは? 欠損金とは、法人税法上、損金の額が益金の額を上回った場合に発生する赤字(マイナスの所得)のことを指します。法人税法2条1項19号で定義されており、簡単に言えば「その事業年度の法人税上の所得がマイナスである状態」です。 つまり 所得金額 = 益金…
社会保険料控除とは

社会保険料控除とは?年末調整・確定申告で得するための基礎知識をわかりやすく解説

社会保険料控除は、所得税や住民税を軽減するために非常に重要な制度です。しかし「何が控除の対象になるの?」「家族の分も控除されるの?」といった疑問を持つ方は少なくありません。この記事では、実務経験をもとに、社会保険料控除の仕組みと申告方法を初心者向けにやさしく説明します。 社会保険料控除とは? 社会保険料控除とは、支払った社会保険料の全額を所得から差し引くことができる制度です。所得控除の「物的控除」に分類され、税負担を減らす効果があります。 控除の対象となる主な社会保険料は次のとおりです: 健康保険料 国民年金保険料 厚生年金保険料 国民健康保険料・国民健康保険税…
割引率とは

割引率とは?意味・計算式・会計基準との関係をわかりやすく解説

割引率(わりびきりつ)は、将来受け取る金額を「今の価値」に置き換えるために使う重要な指標です。会計・税務・投資など幅広い分野で用いられますが、言葉だけではイメージしにくいという方も多いでしょう。この記事では、割引率の基本概念から計算方法、減損会計・退職給付会計・資産除去債務での具体的な使い方まで、専門家としてわかりやすく解説します。 割引率とは?意味をやさしく解説 割引率とは、将来受け取る金銭やキャッシュ・フローを現在の価値(割引現在価値)へ換算するための割合のことです。同じ100万円であっても「今受け取る100万円」と「3年後の100万円」は価値が異なります。将来の金額をそのまま評価すると実態を誤るため、会計処理では「割引」が必要になります。 なぜ未来のお金は価値が変わるのか? 理由は主に3つです。 1. 利回りの存在 銀行に預ければ利息がつき、投資すれば運用益が見込めます。「100万円をいま運用できる」価値は、「将来100万円を受け取る」価値より大きくなることがあります。…
労務費とは

労務費とは?人件費との違い・内訳・計算方法・労務費率まで初心者向けに徹底解説

労務費は、製造業や建設業など「ものづくり」に関わる企業にとって極めて重要なコストです。しかし「人件費と何が違うの?」「直接労務費と間接労務費ってどう区別するの?」と悩む経理担当者は少なくありません。 この記事では、日本の会計制度・原価計算の実務経験にもとづき、労務費の意味、人件費との違い、内訳、計算方法、労務費率 をわかりやすく解説します。これから原価管理を強化したい企業や、経理初心者の方にも役立つ内容です。 労務費とは?(基礎の理解) 労務費とは 製品の製造に直接・間接的に必要な“人の労働に対するコスト” を指します。 ポイントは次の2つです。…
流動資産とは

流動資産とは?初心者でもサッと理解できる基礎知識と種類一覧

流動資産は、企業の財務状態を理解するうえで欠かせない基本の概念です。 しかし「現金のこと?」「売掛金と何が違うの?」と疑問に感じる初心者も少なくありません。 本記事では、簿記・会計の実務経験にもとづき、流動資産の意味から主な種類、チェックすべきポイントまでわかりやすく解説します。 流動資産とは 流動資産とは、1年以内に現金化できる資産、または営業サイクル(仕入→製造→販売→回収)で発生する資産のことです。貸借対照表(バランスシート)では左上に表示され、企業の短期的な資金余力を判断する重要な指標になります。 ただし、含まれているからといって、「すぐ現金になる」とは限りません。売掛金は回収リスクがあり、在庫は販売までに時間を要します。これを理解しておくことが、貸借対照表を読み解く第一歩です。 流動資産の主な種類 ●…
旅費交通費とは

旅費交通費とは?交通費との違いや仕訳、税務上のポイントをわかりやすく解説

企業の経理担当者や経営者の方にとって、旅費交通費や交通費は日常業務で頻繁に出てくる勘定科目です。しかし、「旅費交通費」と「交通費」の違いや、仕訳方法、税務上の取り扱いについて正確に理解している人は意外と少ないかもしれません。 この記事では、旅費交通費の意味、交通費との違い、具体的な仕訳例、税務上の注意点まで、初心者にもわかりやすく解説します。 旅費交通費とは? 旅費交通費とは、出張や転勤、海外渡航など、業務上必要な移動や宿泊にかかる費用を指します。広い範囲の費用や手当が含まれるため、会社の旅費規程に従って計上されます。 具体的な費用例 出張費 新幹線や航空券代 タクシー・レンタカー代…
流動負債とは

流動負債とは?意味や種類、経営指標での活用までわかりやすく解説

企業の経理や財務分析を行う際、「流動負債」という言葉を目にすることは少なくありません。しかし、具体的にどのような意味で、どの勘定科目が含まれるのか、初心者には少し分かりにくい項目です。 この記事では、流動負債の基本から、主要な勘定科目、経営指標での活用方法まで、わかりやすく解説します。経営者や経理担当者、会計初心者の方にも理解しやすい内容です。 流動負債の基本とは? 流動負債とは、企業が日常の営業活動や取引で発生させた債務のうち、貸借対照表日から1年以内に返済義務が到来する負債を指します。 ここで重要なポイントは「1年以内」という点です。これを「ワン・イヤー・ルール」と呼び、1年を超える負債は基本的に固定負債として分類されます。 流動負債に含まれる代表的な項目 流動負債には様々な科目があります。主なものを見てみましょう。 買掛金商品や原材料、サービスの代金を後払いする場合に計上されます。…
利益剰余金とは

利益剰余金とは?マイナスになる理由や仕訳例までわかりやすく解説

企業経営や会計の現場でよく耳にする「利益剰余金」。なんとなく利益をためておくお金だと理解していても、具体的な意味や仕訳、当期純利益との関係は意外とわかりにくいものです。 この記事では、利益剰余金の基本から、マイナスになるケース、配当や処分の仕訳例まで丁寧に解説します。 経理担当者や経営者の方も、ぜひ参考にしてください。 利益剰余金とは? 利益剰余金とは、企業の株主資本の一部で、資本金や資本剰余金を除いた「会社が過去に稼いだ利益の累積」を指します。簡単に言うと、会社が得た利益のうち、社内に残しているお金です。 利益剰余金には以下の内訳があります。 利益準備金(法定準備金):会社法で積み立てが義務付けられているお金。債権者保護のため、配当の一部を必ず積み立てます。 任意積立金:会社が自由に目的を決めて積み立てるお金。設備投資や役員退職金などに備えます。…
連結決算とは

連結決算とは?初心者でもわかる連結財務諸表の作り方と連結修正のポイント

企業グループ全体の経営状況を正確に把握するためには、親会社だけでなく子会社や関連会社の情報も含めた「連結決算」が欠かせません。 連結決算を行うことで、企業グループ全体の財政状態や経営成績、キャッシュフローをひとつの視点で確認できます。 この記事では、連結決算の基本から連結財務諸表の作成手順、連結修正のポイントまで丁寧に解説します。 連結決算とは 連結決算とは、親会社とその子会社、場合によっては関連会社を含めた企業グループ全体をひとつの組織として財務諸表を作成する決算のことです。 通常の個別決算では親会社単体の財務状況しかわかりませんが、連結決算ではグループ全体での正確な業績や財務状況を把握できます。 このとき作成されるのが「連結財務諸表」で、個別財務諸表を単に合算するだけではなく、内部取引の相殺や未実現利益の消去などの「連結修正」が必要です。 連結決算の対象はどこまで?…
連結貸借対照表とは

連結貸借対照表とは?初心者でもわかる基本と作り方のポイント

企業の財務状況を正しく理解するために「連結貸借対照表(れんけつたいしゃくたいしょうひょう)」は重要な資料です。 親会社と子会社を一つの経済単位としてまとめ、グループ全体の資産・負債・純資産の状態を把握することができます。 本記事では、連結貸借対照表の基本、作成方法、全部連結と持分法の違いをわかりやすく解説します。 連結貸借対照表とは 連結貸借対照表は、親会社と子会社の財務情報を合算し、内部取引を消去したうえで作成される財務諸表です。単に親会社と子会社の単独貸借対照表を足し合わせるだけではなく、企業グループ内部での取引や貸付金・売掛金などの重複項目を相殺することが求められます。 また、親会社が支配力を持つ会社は「全部連結」、親会社が影響力を持つ関連会社は「持分法」を用いて連結されます。 全部連結による連結貸借対照表の例 例えば、親会社Aと子会社Bの状況が以下の通りだったとします。…