事業分離とは

事業分離とは?仕組み・手法・会計処理を専門家がやさしく解説

企業再編が身近になってきた今、「事業分離」というキーワードは経営者だけでなく経理担当者からも検索される人気ワード。この記事では、事業分離の意味から会計処理まで、初心者でも理解しやすいように整理していくよ。 事業分離とは何か 事業分離とは、会社が持つ事業の一部を、別の会社に移転して切り離すこと。既存の会社に移す場合もあれば、新しく会社を設立してそこに事業を移すケースもある。 似ている言葉に「事業結合」があるけれど、事業結合が「合体」なら、事業分離は「分ける」イメージ。企業再編の中でもよく使われる手法だけど、実は「事業分離」という単体の法律上の制度があるわけではない。実際の手続きは、会社分割や事業譲渡といった具体的な手法を選んで行うことになる。 事業分離で大切なのは「対価」。分離元企業が分離先企業から受け取る対価によって、会計処理が変わるから注意が必要。 事業分離会計の基本 事業分離の会計処理は、めちゃシンプルに言うと次のどちらになるかで決まる。 ・移転した事業への投資が「継続している」・もしくは「精算された」とみなされる…
少数株主とは

少数株主とは 何かをわかりやすく解説する基礎ガイド

会社には多数派だけでなく、経営権を持たない立場で事業を支える少数株主という存在がいます。株式を持っているだけでは経営に口を出せないというイメージを持つ人もいますが、実際は法律でしっかり守られた権利があります。この記事では、少数株主の意味や役割、そして少数株主権のポイントを初心者にもわかりやすく説明します。 少数株主とはどんな存在なのか 少数株主とは、子会社の自己資本のうち、親会社が持つ部分以外を所有している株主のことを指します。一般的には、経営権を握るほどの株式を保有していない株主を意味し、単独株主という言葉とは区別されます。 少数株主は会社法により、株主総会招集請求権、議題提案権、会計帳簿閲覧権、取締役の解任請求など、さまざまな権利が保証されています。これらはまとめて少数株主権と呼ばれ、企業経営が特定株主に偏らないための重要な仕組みです。 少数株主が重視される理由 株式会社では「資本の多い株主ほど意思決定に強い影響を持つ」という資本多数決の考え方が基本です。しかし、多数派の株主が自分たちだけに有利な行動を取ってしまう可能性もあります。 例えば、・役員報酬だけを必要以上に引き上げる・会社の利益よりも自分たちの都合を優先させる・不利な合併や事業譲渡を強行する こうした事態を防ぐために、少数派でも会社運営をチェックできる法律上の仕組みが整えられています。…
セグメント情報とは

セグメント情報とは?初心者にも分かりやすい基礎ガイド

企業が複数の事業を展開すると、全体の数字だけでは収益構造が見えにくくなります。そのため、事業ごとの収益性を把握するために使われるのがセグメント情報です。この記事では、会計初心者でも理解しやすいように、セグメント情報の仕組みと考え方を整理して解説します。 セグメント情報とは何か セグメント情報とは、企業の売上、利益、資産といった財務データを事業単位や地域単位に分けて開示する情報のことです。特に複数事業を持つ企業では、どの事業が利益を生み、どの事業が課題を抱えているかを外部に示す重要な情報になります。 企業全体の財務諸表だけでは分かりにくい個別事業の姿を明確にすることで、投資家や取引先が企業の実態をより正確に把握できるようになります。 セグメント情報が必要とされる理由 一つの財務諸表で全事業をまとめてしまうと、個別事業の成績が埋もれ、判断が難しくなります。例えば、全体で黒字でも、個別に見ると赤字事業が混ざっているケースは珍しくありません。 セグメント情報があれば次のようなことが可能になります。 ・利益を支えている事業の把握・不振事業の早期発見・成長分野への投資判断・将来キャッシュフローの予測精度向上…
時価純資産方式とは

時価純資産方式とは?企業価値評価の基本と簿価純資産方式との違い

企業の買収(M&A)や事業承継の場面では、「この会社はいくらの価値があるのか?」という企業価値評価が重要になります。その評価方法のひとつが、時価純資産方式(じかじゅんしさんほうしき)です。 この記事では、会計の実務でもよく使われる「時価純資産方式」について、初心者の方にもわかりやすく解説します。また、似た考え方である「簿価純資産方式」との違いや、企業価値評価におけるコストアプローチの考え方もあわせて紹介します。 時価純資産方式とは? 時価純資産方式とは、企業価値を資産の時価(=現在の実際の価値)を基に計算する評価方法の一つです。これは、「コストアプローチ」と呼ばれる企業価値算定の考え方に分類されます。 具体的には、次の手順で評価を行います。 企業の貸借対照表(バランスシート)を基に、資産を時価評価に修正 簿外負債(帳簿に載っていない将来負担など)を加味して純資産額を再計算 その結果得られた純資産額を発行済株式数で割ることで、1株あたりの株価を算定…
資本利益率とは

資本利益率とは?ROI・ROEの違いをわかりやすく解説

企業の「稼ぐ力」を測る重要な指標のひとつに資本利益率があります。資本利益率とは、企業が投下した資本に対してどれだけ効率的に利益を生み出したかを示す指標です。財務分析や投資判断、経営診断など、さまざまな場面で用いられています。 本記事では、ROI(投下資本利益率)とROE(自己資本利益率)という2つの代表的な資本利益率の違いと、その計算方法・見方を初心者にもわかりやすく解説します。 資本利益率(ROI・ROE)とは? 「資本利益率」は、資本に対する利益の割合を表す指標です。簡単に言えば、「投資したお金をどれくらい有効に使って稼げているか」を数字で示すものです。 資本利益率には主に以下の2種類があります: 指標 英語表記 意味…
設備投資効率とは

設備投資効率とは?計算方法・目安・改善のポイントをわかりやすく解説

企業の生産設備が「どれだけ効率よく利益を生み出しているか」を測る重要な指標が設備投資効率です。この記事では、会計・経理の初心者でも理解しやすいように、設備投資効率の意味・計算方法・目安・上げる方法を、実例を交えながらわかりやすく解説します。 設備投資効率とは?基本の考え方 設備投資効率とは、企業が保有する生産設備(機械・建物などの有形固定資産)が、どれだけの付加価値を生み出しているかを示す経営指標です。 簡単に言えば、「会社の設備が、どのくらい利益を生み出しているか」を測るもの。この数値が高いほど、投資した設備を効率的に活用できているといえます。 一方、設備投資効率が低い場合は、生産性の低下や資産の過剰保有などが疑われ、経営改善の余地があると判断されます。 設備投資効率の計算方法 設備投資効率は次の計算式で求められます: 設備投資効率(%)=…
四半期報告書とは

四半期報告書とは?提出期限・内容・有価証券報告書との違いをわかりやすく解説

上場企業の決算情報を調べていると、「有価証券報告書」よりも「四半期報告書」を目にする機会が多いのではないでしょうか?四半期報告書は、投資家や関係者が企業の業績をよりタイムリーに把握するために作成される重要な書類です。 本記事では、 四半期報告書の意味 提出期限や対象企業 有価証券報告書・決算短信との違いを、会計の専門家がわかりやすく解説します。   四半期報告書とは? 四半期報告書とは、金融商品取引法(金商法)に基づき、上場企業などが3か月ごとに提出する報告書のことです。四半期ごとの業績や財務状況を開示することで、投資家がより正確な判断を行えるようにする目的があります。…
ストックとは

ストックとは?フローとの違い・会計用語としての意味をわかりやすく解説

企業会計や投資の世界でよく耳にする「ストック」という言葉。「株式のこと?」「フローとどう違うの?」と疑問に思う方も多いでしょう。 この記事では、会計や経済の基本用語「ストック」について、その意味・使われ方・関連語(ストックマインド・ストックオプション)まで、日本の会計専門家の視点からやさしく解説します。 ストックとは?基本の意味 英語の “stock” には本来「貯蔵」「蓄え」「在庫」などの意味があります。しかし、会計や経済の分野では「ストック」には特別な意味があります。 たとえば、 経済全体で見れば「資産や負債など、ある時点でどれだけ蓄積されているか」…
資本効率とは

資本効率とは?ROE・ROICなど主要指標の意味と高め方をやさしく解説

企業経営において「資本効率(しほんこうりつ)」は、どれだけ効率的に資本を使って利益を生み出しているかを示す重要な指標です。投資家や経営者にとって、資本効率を理解することは、企業の収益力や経営の健全性を見極めるうえで欠かせません。 この記事では、資本効率の基本的な意味から、代表的な4つの指標(ROE・ROA・ROCE・ROIC)、そして「資産効率」との違い、さらに資本効率を高める実践的な方法まで、税理士・会計専門家の視点でやさしく解説します。 資本効率とは?基本の考え方 「資本効率」とは、株主や金融機関などから調達した資金をどの程度うまく使って利益を出しているかを表す指標です。 たとえば、同じ1億円の資本を使っている2社があった場合、 A社:年間2,000万円の利益 → 資本効率20%…
従価税とは

従価税とは?初心者にもわかる意味・仕組み・従量税との違いを解説

「従価税(じゅうかぜい)」という言葉を聞いたことはありますか?消費税や関税など、私たちの生活に身近な税金の多くがこの「従価税」という仕組みで課税されています。この記事では、従価税の意味・特徴・メリットやデメリット、さらに「従量税」との違いについて、会計や税務の専門家の視点からわかりやすく解説します。 従価税とは?意味と基本の考え方 従価税とは、課税の対象となる財やサービスの「取引価格(価値)」を基準に税額を決める方式のことです。つまり、価格が高ければ税額も高く、価格が低ければ税額も低くなるという仕組みです。 日本で代表的な従価税の例には、以下のようなものがあります: 消費税(買い物をするときに支払う税) 自動車取得税(車を購入するときに課税される税) 輸入関税(海外から輸入する際にかかる税) このように、従価税は私たちの生活のあらゆる場面で使われている、非常に一般的な課税方式です。…