生命保険の決算書や用語集を読んでいて、「契約者配当準備金繰入額(けいやくしゃはいとうじゅんびきんくりいれがく)」という言葉に出会ったことはありませんか?
一見すると難解なこの用語ですが、実は保険会社が契約者に配当金を支払うための“見えない積立金”をどれだけ計上するかという重要な数字です。
この記事では、「契約者配当準備金繰入額」の意味や仕組み、保険契約者にどんな影響があるのかを、初心者にもわかるように丁寧に解説します。
✅ 契約者配当準備金繰入額とは?
「契約者配当準備金繰入額」とは、保険会社が将来の契約者配当金の支払いに備えて積み立てる『契約者配当準備金』を、どれだけ経費として計上するかを表す金額のことです。
言い換えれば、
「契約者への配当金のために、今年はこれだけ積み立てます!」
という金額を決定するものです。
これは主に株式会社型・相互会社型の生命保険会社において使用される決算上の勘定科目であり、配当を前提としない無配当保険のみを取り扱う保険会社では使われません。
🧮 この用語の位置づけ:配当金の“裏側”にある数字
契約者配当準備金繰入額は、保険会社の利益(剰余金)が出たときに決定されます。以下のようなプロセスで扱われます:
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保険会社の決算で剰余金が生じる
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前期から繰り越した剰余金と合わせて配分を検討
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総代会で「契約者配当準備金繰入額」が正式に決定
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この繰入額をもとに契約者配当率を算出
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配当金として各契約者に分配される
つまり、配当金のもとになる「契約者配当準備金」がいくらになるのかを決める数字が、「契約者配当準備金繰入額」なのです。
📌 似た用語との違いは?
用語 | 意味 | ポイント |
---|---|---|
契約者配当金 | 実際に契約者に配られるお金 | 契約者の手元に届く金額 |
契約者配当準備金 | 配当金を出すために積み立てておく準備金 | 将来の支払いに備える |
契約者配当準備金繰入額 | 準備金として「今年いくら積み立てるか」を決めた金額 | 決算で設定される経費 |
💡 具体的なシチュエーションでイメージしてみよう
たとえば、ある保険会社が今年の決算で10億円の剰余金を得たとします。前年からの繰越剰余金が5億円あれば、合計15億円が配分の対象です。
そのうち、総代会の決定により「今年は契約者配当準備金として5億円を積み立てよう」となった場合、**この5億円が「契約者配当準備金繰入額」**になります。
その後、この金額をもとに「配当率」が算出され、各契約者に適切な配当金が分配されます。
🚫 無配当保険では使われない用語です
注意点として、「契約者配当準備金繰入額」という勘定項目は、そもそも配当金を支払わない無配当保険では使用されません。
無配当型の商品では、契約時点から配当を出す前提がないため、このような準備金の積立やその繰入額を計上する必要がないのです。
📝 まとめ:契約者配当準備金繰入額は“配当金の原資をつくる数字”
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契約者配当準備金繰入額は、契約者に配当金を支払うための準備金として、保険会社が積み立てる金額のこと。
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この金額は、決算で生じた剰余金などから、総代会の決定によって正式に計上される。
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繰入額をもとに契約者配当率が決まり、契約者ごとの配当金が割り当てられる。
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無配当保険にはこの勘定項目は存在しない。
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