限定承認とは

限定承認とは?相続におけるリスク回避のための選択肢を解説

「相続って、借金も引き継がなきゃいけないの?」
「資産よりも借金が多かったらどうすれば…?」

そんな不安を抱えている方に知ってほしいのが、**「限定承認(げんていしょうにん)」**という制度です。
この記事では、限定承認の意味や手続きの流れ、注意点について、相続の初心者にもわかりやすく解説します。

✅ 限定承認とは?

限定承認とは、相続人が「相続財産の範囲内」で被相続人(亡くなった人)の債務や義務を引き継ぐ制度のことです。

通常の相続(「単純承認」)では、預貯金や不動産などのプラスの財産だけでなく、借金や未払い金などのマイナスの財産もすべて引き継ぎます。

一方、限定承認を選べば「相続で得た財産の範囲内」でしか借金を支払う義務が発生しません。
つまり、「借金のせいで相続人が損をする」リスクを避けられる方法なのです。

💡 どんなときに限定承認を使うべき?

限定承認は、次のようなケースで検討されることが多いです:

  • 被相続人の財産状況が不明確で、プラスかマイナスか分からない

  • 不動産や骨董品など、換金価値が不明確な資産が多い

  • 借金があるとわかっているが、相続財産の範囲内なら支払える場合

  • 家業や事業を承継したいが、負債もあるケース

▶ 例:父親が亡くなった後に借金が発覚…

ある家族が父親の死後、遺産を整理していたところ、500万円の借金が見つかりました。
現金や預金、不動産などのプラス財産は400万円分。
このまま単純承認してしまうと、相続人が100万円の赤字を負担することに。

そこで限定承認を選ぶと、400万円の財産でできる限り借金を返済し、それ以上の責任は負いません。

📝 限定承認の手続き方法と期限

限定承認を行うためには、いくつかのルールと手続きがあります。

▶ 必要条件

内容 詳細
相続人全員の同意 一人でも反対すれば限定承認はできません
家庭裁判所への申述 相続開始を知った日から3カ月以内に申立てが必要
書類提出 限定承認申述書、戸籍謄本、相続関係説明図など

※地域の家庭裁判所によって、必要書類が異なる場合がありますので事前に確認を。

⚠ 注意すべきポイント

限定承認には便利な側面もありますが、注意点もいくつかあります。

1. 相続人全員の合意が必須

1人でも単純承認を選ぶと、限定承認の申請はできません。

2. 手続きが煩雑

家庭裁判所での申立て、財産の調査、債権者への公告など、手間がかかります。
必要に応じて司法書士や弁護士への相談も検討しましょう。

3. みなし譲渡所得課税が発生する場合も

不動産などの相続財産を売却した場合、所得税がかかる可能性があるため、事前の試算が大切です。

💬 限定承認と他の相続方法の比較

区分 内容 メリット デメリット
単純承認 財産も債務もすべて引き継ぐ 手続きが簡単 借金が多いと損
限定承認 財産の範囲内で債務を引き継ぐ 赤字リスクを回避 手続きが複雑
相続放棄 一切相続しない 借金も回避できる プラスの財産も放棄

✨ まとめ:限定承認は“損しない相続”のための重要な選択肢

  • 限定承認とは、相続財産の範囲内で債務を引き継ぐ制度

  • 財産のプラス・マイナスが不明なときに活用される

  • 相続人全員で3カ月以内に家庭裁判所へ申立てが必要

  • 手続きは専門家に相談しながら進めるのがおすすめ

さらに参照してください:

後遺障害とは?後遺症との違いや等級認定、損害賠償についてやさしく解説