「扶養控除(ふようこうじょ)」は、所得税や住民税を計算する際に大きな影響を与える制度のひとつです。
特に、子どもや親を扶養している方にとっては、税負担を軽減できる重要な仕組みです。
本記事では、扶養控除の基本的な仕組み、対象となる条件、控除額の目安を、初心者の方にもわかりやすく解説します。
扶養控除とは?
扶養控除とは、納税者に「控除対象扶養親族」がいる場合に、所得から一定額を差し引ける制度のことです。
これにより課税所得が少なくなり、その分、所得税や住民税が軽減されます。
扶養親族の条件(4つの要件)
扶養控除の対象となる「扶養親族」になるには、次の4つの要件をすべて満たす必要があります。
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対象となる親族であること
配偶者以外の親族(6親等内の血族、3親等内の姻族)、または里子・養護を委託された老人。 -
納税者と生計を一にしていること
同居していなくても、仕送りなどで生活を支えていれば対象になる場合があります。 -
年間の所得が一定以下であること
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合計所得金額38万円以下
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給与収入のみの場合は103万円以下
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事業専従者ではないこと
青色申告者や白色申告者の事業専従者は対象外です。
控除対象扶養親族とは?
「控除対象扶養親族」とは、上記の要件を満たした扶養親族のうち、その年の12月31日時点で16歳以上の人を指します。
なお、16歳未満の子どもについては扶養控除の対象外ですが、児童手当など別の制度でサポートされています。
控除額の目安
控除額は扶養親族の年齢などによって異なります。代表的な控除額は以下の通りです。
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一般の扶養親族(16歳以上~69歳まで):38万円
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特定扶養親族(19歳以上23歳未満の子どもなど):63万円
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老人扶養親族(70歳以上):48万円(同居老親の場合は58万円)
具体的な例
例1:大学生の子ども(20歳、アルバイト収入90万円)がいる場合
→ 所得38万円以下に該当するため「特定扶養親族」となり、63万円の控除を受けられます。
例2:同居している70歳の母を扶養している場合
→ 「同居老親等」に該当するため、58万円の控除を受けられます。
まとめ
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扶養控除とは:扶養親族がいる納税者が受けられる所得控除のこと
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対象条件:親族関係、生計同一、所得制限、事業専従者でないこと
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控除額:年齢や同居の有無により38万~63万円(特定の場合は最大63万円)
扶養控除は、家計に直結する大切な制度です。
「誰を扶養に入れられるか」「控除額はいくらになるか」を正しく理解し、年末調整や確定申告の際にしっかり申告するようにしましょう。
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