育児休業等終了時改定とは

育児休業等終了時改定とは?仕組みと年金への影響をわかりやすく解説

子育てをしながら仕事に復帰したとき、多くの方が直面するのが「収入の変化」と「社会保険料の負担」です。

特に時短勤務やパートタイム勤務を選択すると、給与が下がり、保険料の負担感が重くなることもあります。こうした状況を考慮して導入されたのが「育児休業等終了時改定」です。

この制度を正しく理解しておくことで、家計管理や将来の年金額を安心して見通すことができます。

育児休業等終了時改定とは?

育児休業等終了時改定(いくじきゅうぎょうとうしゅうりょうじかいてい)とは、育児休業から復帰した際に報酬が下がった場合、実際の給与水準に応じて標準報酬月額を見直すことができる制度です。

従来の仕組みでは、標準報酬月額の変更は「随時改定(いわゆる月額変更届)」に基づき、一定条件を満たす場合にのみ行われていました。

しかし、育児休業後は時短勤務などにより収入が一時的に大きく下がるケースが多いため、被保険者の負担を軽減する特例として平成17年4月に導入されました。

制度の仕組み

対象となる人

  • 育児休業を終了した被保険者

  • 3歳未満の子を養育していること

手続き

厚生労働大臣への申出が必要です。申請が認められると、育児休業終了日の翌日の属する月から3か月間の平均報酬月額をもとに新しい標準報酬月額が決定されます。

適用期間

改定後の標準報酬月額は、育児休業終了日の翌日から起算して2か月を経過した日の属する月の翌月から適用され、次回の「定時決定」(毎年の算定基礎届による決定)まで続きます。

利用するメリット

  1. 保険料負担の軽減
    実際の収入に合わせて標準報酬月額が下がるため、厚生年金や健康保険の保険料が軽くなります。

  2. 子育て世帯への支援
    子育てと仕事の両立で収入が減った家庭にとって、家計の負担を和らげる制度です。

  3. 将来の年金額への影響は限定的
    標準報酬月額が下がると年金額にも影響しますが、短期間の改定であり、育児支援の観点から制度が整えられているため、過度に心配する必要はありません。

 

まとめ

「育児休業等終了時改定」は、育児休業から復帰した際の収入減少に合わせて標準報酬月額を見直せる制度です。

対象は3歳未満の子を養育する被保険者で、申請によって適用を受けられます。

育児と仕事の両立は経済的にも大きな挑戦ですが、この制度を活用することで保険料負担を軽減し、安心して働き続ける環境を整えることができます。

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