代行部分とは

代行部分とは?厚生年金基金の仕組みをわかりやすく解説

日本の年金制度には「国民年金」や「厚生年金」などの公的年金に加え、企業が設立する「厚生年金基金」という仕組みも存在していました。
その中でよく出てくる専門用語が 「代行部分」 です。

代行部分は年金制度を理解するうえで重要なポイントですが、少し専門的でわかりにくい言葉でもあります。
この記事では、「代行部分」の意味や役割を、初心者にもわかりやすく整理して解説します。

代行部分とは?

代行部分とは、厚生年金基金が国に代わって給付を行う老齢厚生年金の一部を指します。

具体的には、老齢厚生年金(報酬比例部分)のうち、

  • 賃金の再評価分

  • 物価スライド分

を除いた部分が「代行部分」です。
この部分を基金が代わりに支払うため「国の給付を代行する部分」と呼ばれています。

厚生年金基金と代行部分の関係

厚生年金基金を設立すると、企業は代行部分の給付に必要な保険料を国に納めなくてもよくなり、その分を基金の掛金として拠出します。

基金はこの代行部分に加えて、企業独自の「プラスアルファ部分」(上乗せ給付)を支払う仕組みを持っていました。
つまり、基金の年金には以下の2種類が含まれていたのです。

  • 代行部分:国に代わって支払う老齢厚生年金の一部

  • プラスアルファ部分:企業独自に上乗せする給付

 

制度の変化と現在の位置づけ

かつては多くの企業が厚生年金基金を運営していましたが、少子高齢化や運用環境の悪化により、基金制度の維持が難しくなりました。
その結果、2014年の制度改正により新規設立は廃止され、既存の基金も順次解散が進められています。

現在では「確定給付企業年金」や「確定拠出年金」など、別の企業年金制度へ移行するケースが一般的です。

代行部分のポイント整理

  • 代行部分とは、厚生年金基金が国に代わって支払う老齢厚生年金の一部

  • 賃金の再評価分・物価スライド分は国が負担

  • 基金の給付には「代行部分」と「プラスアルファ部分」がある

  • 制度改正により基金は縮小し、現在は多くが他制度に移行済み

 

まとめ

代行部分とは、厚生年金基金が担っていた「国の年金給付の一部」を意味します。
制度自体は縮小していますが、企業年金制度の歴史を理解するうえで欠かせないキーワードです。

自分の将来の年金額や、かつての勤務先の年金制度を確認する際には、「代行部分」という言葉の意味を知っておくと理解が深まります。

さらに参照してください:

代行返上とは?厚生年金基金から企業年金への移行をわかりやすく解説