老齢厚生年金や障害厚生年金、遺族厚生年金を受け取るときに必ず関わってくるのが「報酬比例部分(ほうしゅうひれいぶぶん)」です。
この言葉を聞いたことがあっても、実際にどのように計算され、どんな意味を持つのかは分かりにくいですよね。
この記事では、報酬比例部分の基本から具体的な計算方法、さらに「従前額保障」との関係まで、初心者でも理解できるように整理して解説します。
報酬比例部分とは?
報酬比例部分とは、これまでの収入(標準報酬月額や賞与額)と加入期間に応じて決まる年金額のベースです。
老齢厚生年金の受給額は大きく分けて以下のように構成されます。
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老齢基礎年金(全国共通の基礎部分)
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報酬比例部分(収入や加入期間によって変動する部分)
つまり、会社員や公務員として働いた期間の収入が高いほど、この報酬比例部分が増え、将来の年金額も大きくなる仕組みです。
計算方法の仕組み
報酬比例部分は、平成15年(2003年)3月以前と4月以降で計算方法が異なります。
① 平成15年3月までの加入期間
② 平成15年4月以降の加入期間
👉 ポイント
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平均標準報酬月額 … 平成15年3月以前の給与をもとにした平均額。
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平均標準報酬額 … 平成15年4月以降は「給与+賞与」を合算した平均額。
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過去の給与は「再評価率」を用いて現在の価値に換算してから計算します。
この2つを合計したものが、その人の「報酬比例部分」となります。
従前額保障とは?
年金制度には「従前額保障(じゅうぜんがくほしょう)」という仕組みがあります。
これは、現行の計算方法で算出した年金額が、平成6年当時の水準で計算した額(従前額)を下回る場合に、従前額を優先して支給する制度です。
つまり、制度改正によって不利になる人が出ないようにするためのセーフティネットです。
従前額の計算式は以下のとおりです。
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A:平成15年3月以前の加入期間
平均標準報酬月額 × 7.5/1000 × 月数 -
B:平成15年4月以降の加入期間
平均標準報酬額 × 5.769/1000 × 月数
※ 生年月日によって乗率が異なる場合があります。
具体例でイメージ
例えば、40年間厚生年金に加入し、平均標準報酬月額が30万円だった場合:
(実際には平成15年3月以前・以降の区分や再評価率の調整があります)
この金額が報酬比例部分となり、老齢基礎年金と合算して実際の年金額が決まります。
まとめ
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報酬比例部分は厚生年金の金額を決める基礎部分。
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計算は「平成15年3月以前」と「4月以降」で方法が異なる。
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過去の給与は「再評価率」で現在価値に換算。
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「従前額保障」により、不利益を防ぐ仕組みも用意されている。
将来の年金額をより正確に知りたい方は、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」を利用してシミュレーションするのがおすすめです。
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