契約書や領収書を作成するとき、「印紙を貼ってください」と言われた経験はありませんか?
これは「印紙税」という税金によるものです。印紙税は、特定の文書(課税文書)を作成したときにかかる税金であり、日常的な取引やビジネスの場面でも関わってきます。
この記事では、印紙税の基本的な仕組みや対象となる文書、注意すべきポイントをわかりやすく解説します。
印紙税とは?
印紙税とは、印紙税法で定められた課税文書に課される税金のことです。
対象となる文書は「課税文書」と呼ばれ、以下の3つの条件をすべて満たす必要があります。
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印紙税法別表第一(課税物件表)に掲げられている20種類の文書であること
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当事者間で課税事項を証明する目的で作成された文書であること
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印紙税法第5条で規定される「非課税文書」に該当しないこと
つまり、文書の名前や形式ではなく、中身(記載内容)によって課税の有無が判断されるのが特徴です。
印紙税の考え方
印紙税は「文書そのもの」に課税されます。
たとえ契約内容が暗号のように記載されていても、内容が契約や取引を証明するものであれば課税対象になります。
ここでよくある誤解が、
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「契約書に『参考』と書いてあるから課税されない」
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「正式な書式でなければ対象外」
というものですが、実際は文書の形式や意図にかかわらず課税事項が書かれていれば課税対象になります。
課税文書の種類
課税文書は全部で20種類に分類され、それぞれに税額が定められています。代表的なものを見てみましょう。
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第1号文書:不動産の譲渡に関する契約書
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第2号文書:請負契約書(建築工事の契約など)
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第3号文書:約束手形・為替手形
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第17号文書:金銭又は有価証券の受取書(領収書)
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第18号文書:預貯金通帳
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第19号文書:請負通帳・金銭受取通帳
分類のルール
1つの文書に複数の課税事項が含まれる場合は、以下のルールで分類されます。
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最も税額が高いものが優先
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税額が同じ場合は、番号が先に掲げられているもの
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証書と通帳の両方に該当する場合は「通帳」に分類
例
預貯金通帳(第18号:200円/年)と請負通帳(第19号:400円/年)の両方に該当 → 税額が高い第19号文書として扱われます。
印紙税がかかる具体例
日常的に目にする印紙税の代表例は「領収書」です。
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5万円以上の領収書には印紙を貼る必要があります。(ただし、電子データの領収書は非課税)
また、建設業やフリーランスの仕事でも「請負契約書」を結ぶ際には印紙税が必要となるため、知らないと余計な税務リスクを抱える可能性があります。
印紙税を理解するメリット
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税務調査のリスクを減らせる
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契約書作成時の漏れを防げる
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経費処理を正しく行える
特に中小企業や個人事業主は、契約書や領収書の発行が多いため、印紙税の知識があるかないかでコストや税務対応に差が出ます。
まとめ
印紙税は、契約書や領収書など「課税文書」を作成したときにかかる税金です。
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文書の内容で課税の有無が決まる
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20種類の課税文書に分類される
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実務では領収書や請負契約書が代表例
日常業務に直結する税金なので、正しく理解して対応することが大切です。
👉 今後は電子契約や電子領収書の普及により、印紙税の対象外となるケースも増えています。デジタル化を活用してコスト削減につなげるのも一つの戦略です。
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