安全性分析とは

安全性分析とは?決算書から企業の健全性を読み解く5つの指標

企業の決算書を分析する方法はいくつかありますが、その中でも重要なのが「安全性分析」です。
安全性分析とは、企業が短期・長期的に支払い能力を維持できるかどうかを確認する分析で、倒産リスクや資金繰りの健全性を判断するために用いられます。

この記事では、安全性分析に使われる代表的な5つの指標とその計算方法、分析するときの注意点をわかりやすく解説します。

安全性分析とは?

安全性分析とは、企業の財務的な安定性や支払い能力を確認するための分析です。
会社が売上や利益を出していても、借入金が多すぎたり、資金繰りが悪ければ倒産するリスクがあります。

たとえば、黒字倒産と呼ばれるケースは、利益は出ているのに資金繰りが追いつかず、取引先への支払いや金融機関への返済ができなくなることから発生します。
このようなリスクを防ぐために、安全性分析が行われます。

安全性分析に使われる5つの指標

安全性分析では、主に以下の5つの指標が用いられます。

① 流動比率

  • 計算式:流動資産 ÷ 流動負債 × 100

  • 目安:100%以上(200%程度あるとより安心)
    短期的な支払い能力を示す指標です。流動比率が低いと、支払い資金が不足するリスクがあります。

 

② 当座比率

  • 計算式:(流動資産 − 棚卸資産) ÷ 流動負債 × 100

  • 目安:80%以上
    流動資産のうち、すぐに現金化できない在庫を除いて計算する指標です。より厳密に短期の資金繰りを見ることができます。

 

③ 固定比率

  • 計算式:固定資産 ÷ 自己資本 × 100

  • 目安:100%以下が望ましい
    固定資産をどの程度、自己資本でまかなえているかを示します。自己資本でカバーできていれば、借入金に依存せず安定性が高いといえます。

 

④ 固定長期適合率

  • 計算式:固定資産 ÷(自己資本 + 固定負債) × 100

  • 目安:100%以下
    固定資産を長期の安定資金(自己資本+固定負債)で賄えているかを示す指標です。長期的な財務バランスの健全性を確認するのに役立ちます。

 

⑤ 自己資本比率

  • 計算式:自己資本 ÷ 総資本 × 100

  • 目安:30%以上(高いほど安全性が高い)
    総資産のうち、どの程度を自己資本でまかなっているかを示します。自己資本比率が高いほど、外部からの借入に依存せず安定した経営が可能です。

 

安全性分析を行う際の注意点

安全性分析を活用する際には、以下の点に注意しましょう。

  • 業種によって適正値が異なる
    たとえば、小売業は在庫を多く抱えるため当座比率が低めになる傾向があります。

  • 単年度だけで判断しない
    1年だけの数値ではなく、数年分の推移を見ることで本当の傾向がつかめます。

  • 他の分析と組み合わせる
    安全性分析だけでなく、収益性分析や成長性分析とあわせて評価することで、より正確な企業の姿が見えてきます。

 

まとめ

安全性分析は、企業の支払い能力や財務的な安定性を確認するための重要な分析です。

  • 流動比率、当座比率で短期の資金繰りを見る

  • 固定比率、固定長期適合率で長期の財務バランスを確認する

  • 自己資本比率で全体の安定性を評価する

これらを組み合わせて判断することで、倒産リスクや資金繰りの不安を早めに察知できます。

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