事業を続けていく上で欠かせないのが「売掛債権」の管理です。
どれだけ売上を伸ばしても、代金の回収が遅れれば資金繰りは悪化し、最悪の場合、黒字倒産に陥ることもあります。
この記事では、
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売掛債権とは何か
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未収入金との違い
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効率的な管理・回収の方法
を、会計の専門家がわかりやすく解説します。
💡売掛債権とは?
売掛債権とは、商品を販売したりサービスを提供した後、代金を後日受け取る権利のことです。
つまり、「後払いで取引したときに発生する権利」であり、会計上は資産に分類されます。
この売掛債権は「売上債権」とも呼ばれ、企業にとって重要な流動資産の一つです。
売掛債権を担保にして銀行から融資を受けることもできるため、資金調達の手段としても活用できます。
売掛債権の主な種類
種類 | 内容 |
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売掛金 | 商品やサービスを提供したが、まだ現金を受け取っていない債権 |
受取手形 | 相手から受け取った手形により、一定期日に支払われる債権 |
🧮売掛金と未収入金の違い
「売掛金」と「未収入金」は混同されがちですが、次のように明確に区別されます。
比較項目 | 売掛金 | 未収入金 |
---|---|---|
発生原因 | 営業活動(本業) | 営業外活動(本業以外) |
例 | 商品販売代金、サービス提供代金 | 土地・建物・有価証券の売却代金など |
会計上の位置づけ | 売上債権(営業債権) | 営業外債権 |
つまり、売掛金は本業での売上によって生じた債権、未収入金は本業以外の収入に関する債権です。
🗂️売掛債権の管理方法
売掛債権の管理は、企業の「資金繰り」を安定させるための基本業務です。
管理が甘いと、入金遅延や回収不能(貸倒れ)のリスクが高まります。
管理の基本ステップ
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売掛帳の作成
顧客ごとに売上日、金額、支払期日を記録。 -
請求書の発行・送付
期日を明確にし、発行後の送付漏れを防止。 -
入金確認と消込処理
入金データと請求内容を照合し、未回収残高を把握。 -
滞留債権のフォロー
期日を過ぎても入金がない場合は、督促や再請求を行う。
効率的に管理するためには、クラウド会計システムの活用もおすすめです。
たとえば「マネーフォワード クラウド債権管理」などを導入すれば、入金消込や債権残高の自動管理が可能になります。
⏳売掛債権の時効
売掛債権には「行使できる期限(時効)」があります。
2020年4月の民法改正以降、時効期間は以下の通りに統一されました。
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権利を行使できると知った時から 5年
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権利を行使できる時から 10年
一般的には「売上発生日から5年」で時効となるケースが多いです。
ただし、支払いの承認を得るなどで時効の中断(リセット)も可能です。
💰売掛債権の回収方法
売掛金の回収方法は主に次の3つです。
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現金での回収(取引先と直接会って回収)
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銀行振込での回収(最も一般的な方法)
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受取手形による回収(期日に銀行で取り立て)
また、近年ではファクタリング(売掛債権の売却)を利用する企業も増えています。
ファクタリングを使えば、入金前に現金化できるため、急な資金需要にも対応可能です。
ただし、手数料が発生するため、資金繰りを考慮した慎重な運用が必要です。
📊資金繰りを改善するポイント
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滞留債権(長期間未回収の売掛金)を放置しない
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定期的に取引先の信用状況を確認
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請求・入金・消込をシステムで一元管理
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必要に応じてファクタリングで資金を確保
これらを徹底すれば、キャッシュフローが改善し、経営の安定につながります。
✅まとめ:売掛債権を正しく管理して安定した経営を
売掛債権の管理は、単なる経理業務ではなく、企業経営の生命線ともいえます。
「請求」「入金確認」「回収」の流れを確実に行うことで、健全な資金繰りを維持できます。
今後はクラウドシステムを導入し、デジタル化による効率化を進めるのも効果的です。
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