日本の所得税制度では、所得税を軽減するためのさまざまな控除制度が用意されています。その中でも代表的なのが 基礎控除 と 給与所得控除 です。
しかし、初心者にとっては「どちらがどのように適用されるのか」「自分はどの控除を受けられるのか」がわかりにくいものです。
この記事では、両者の違いや申告方法、最新の法改正による変更点まで分かりやすく解説します。
基礎控除とは?
基礎控除 は、所得税の計算時に すべての納税者 が対象となる控除です。年間の合計所得金額が 2,500万円以下 の場合に適用され、課税所得から一定額を差し引くことで所得税を軽減できます。
令和7年以降の基礎控除額
合計所得金額 | 基礎控除額 |
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2,350万円以下 | 58万円 |
2,350万円超~2,400万円以下 | 48万円 |
2,400万円超~2,450万円以下 | 32万円 |
2,450万円超~2,500万円以下 | 16万円 |
※改正は令和7年分以降の所得税および令和8年1月1日以降の給与や年金の源泉徴収に適用されます。
所得控除と税額控除の違い
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所得控除(基礎控除など):課税所得を減らして所得税を軽減
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税額控除:算出された所得税額から直接控除
同じ金額でも、税額控除の方が減税効果が大きくなる場合があります。
給与所得控除とは?
給与所得控除 は、給与を受け取る人(会社員、パート、アルバイトなど)向けの控除です。給与収入から必要経費に相当する額を差し引き、課税対象となる給与所得を計算します。
給与所得控除額(令和7年度改正後の目安)
給与収入 | 給与所得控除額 |
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162万5千円以下 | 65万円 |
162万5千円超~180万円以下 | 収入×40%−10万円 |
180万円超~360万円以下 | 収入×30%+8万円 |
360万円超~660万円以下 | 収入×20%+44万円 |
660万円超~850万円以下 | 収入×10%+110万円 |
850万円超 | 195万円 |
給与所得控除は年末調整で自動的に適用され、給与所得者の所得税負担を軽減します。
基礎控除と給与所得控除の違い
控除名 | 対象者 | 控除の仕組み |
---|---|---|
基礎控除 | すべての納税者 | 所得に応じて総所得金額から差し引く |
給与所得控除 | 給与所得者のみ | 給与収入から必要経費に相当する額を差し引く |
給与所得者は両方の控除を受けられますが、事業所得者や年金受給者は基礎控除のみが適用されます。
「103万円の壁」とは?
基礎控除(48万円)+給与所得控除(55万円)=103万円
給与所得が103万円以下であれば課税所得は0円となり、所得税がかかりません。令和7年以降は 123万円に引き上げ られます。
年末調整・確定申告での手続き
年末調整
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勤務先に「給与所得者の基礎控除申告書」を提出
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提出しないと基礎控除は適用されません
確定申告
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確定申告書第一表の「基礎控除」欄に控除額を記入
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他の所得控除と合わせて「所得控除額の合計」を算出
代表的な所得控除の種類
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社会保険料控除:国民年金や健康保険料など
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生命保険料控除:生命保険・医療保険料
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地震保険料控除
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扶養控除・配偶者控除・配偶者特別控除
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医療費控除
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雑損控除:災害・盗難・横領による損失
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障害者控除・勤労学生控除
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寄附金控除(ふるさと納税など)
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ひとり親控除・寡婦控除
正しく申告することで、支払う所得税や住民税を大幅に減らすことが可能です。
基礎控除・給与所得控除の申告をラクに行う方法
はじめて確定申告をする場合や、書類作成に不安がある場合は、会計ソフトの活用がおすすめです。
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これにより、控除漏れや申告ミスを防ぎ、所得税の軽減をスムーズに行えます。
まとめ
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基礎控除:すべての納税者が対象、所得に応じて控除額が変動
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給与所得控除:給与所得者専用、収入に応じて必要経費相当額を控除
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確定申告・年末調整での申告が必須
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最新の法改正で控除額が引き上げられ、パート・アルバイトの「103万円の壁」が123万円に
控除を正しく活用することで、所得税の負担を大幅に軽減できます。初心者でも会計ソフトを利用すれば、簡単・確実に申告可能です。
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