企業が商品やサービスを販売して利益を得るためには、「原価(げんか)」を正確に理解することが欠かせません。
原価は経営の基本であり、価格設定や利益管理の基礎となる重要な指標です。
この記事では、原価の意味から構成要素、原価の考え方や計算の基本まで、会計の専門家がわかりやすく解説します。
原価とは
原価とは、商品を製造または販売するために直接かかる費用のことです。
製造業では「製造原価」、商社や小売業では「仕入原価」などとも呼ばれます。
企業はこの原価に利益(もうけ)を上乗せして販売価格を決定します。
たとえば、1個あたりの製造に1,000円かかった場合、1,500円で販売すれば、1個あたり500円の利益となります。
このように、原価を正確に把握することは、価格戦略や経営判断の出発点になります。
原価の主な内訳
原価には、単に「材料費」だけでなく、製造や販売に関わる多くの費用が含まれます。
一般的に、原価は次の3つの要素で構成されます。
① 材料費(直接費)
製品を作るために使われる原材料や部品などの費用です。
例:鉄、木材、布、電子部品 など。
② 労務費(人件費)
製品を作るために働く従業員の給与や社会保険料などが含まれます。
例:製造担当者の給料、工場の作業員の残業代 など。
③ 経費(間接費)
製造に直接関係しないものの、製品づくりに必要な費用です。
例:工場の電気代、機械の減価償却費、修繕費 など。
これらを合計したものが「製造原価」と呼ばれます。
原価の計算方法の基本
原価は、以下のように計算されます。
製造原価 = 材料費 + 労務費 + 経費
例えば、材料費が10万円、労務費が6万円、経費が4万円の場合、製造原価は合計20万円になります。
もしこの製品を25万円で販売できれば、5万円の利益を得られる計算です。
原価を知ることがなぜ重要なのか
原価を正確に把握することは、企業経営において非常に重要です。
理由は以下の3点です。
-
価格設定の基準になる
原価を知らなければ、適正な販売価格を決めることができません。 -
利益の確保につながる
原価を下げる努力(コスト削減)は、利益を増やす最も効果的な方法の一つです。 -
経営判断の精度が上がる
どの製品が儲かり、どの製品が赤字なのかを判断するためには、原価分析が欠かせません。
原価と売値・利益の関係
商品を販売する際の価格(売値)は、以下のように決まります。
売値 = 原価 + 利益(もうけ)
たとえば、原価が2,000円で、1個あたり500円の利益を取りたい場合、販売価格は2,500円となります。
つまり、原価が下がれば下がるほど、同じ売値でも利益が増える仕組みになります。
まとめ:原価を正しく理解することが経営の第一歩
原価とは、企業が商品を製造・販売するために必要なすべての費用のことです。
原価を把握することで、正しい価格設定や利益確保ができ、経営の安定につながります。
特に中小企業や個人事業主にとっては、日々のコスト意識が利益構造の改善に直結します。
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