株式投資を行ううえで、「PER(株価収益率)」や「PBR(株価純資産倍率)」と並んで注目される指標のひとつに、株価売上高倍率(PSR:Price to Sales Ratio)があります。
この記事では、PSRの意味・計算方法・見方・注意点を、会計の専門家の視点からわかりやすく解説します。
✅ 株価売上高倍率(PSR)とは?
株価売上高倍率(PSR)とは、企業の時価総額を年間売上高で割って算出する指標のことです。
つまり、「その企業が生み出す売上に対して、投資家がどれだけの価値をつけているか」を示すものです。
🔹 計算式:
PSR=企業の時価総額÷年間売上高PSR = 企業の時価総額 ÷ 年間売上高
例えば、ある企業の時価総額が100億円で、年間売上高が50億円の場合、
PSRは「100 ÷ 50 = 2倍」となります。
この場合、「売上の2倍の価値が株式市場で評価されている」という意味になります。
💡 PSRでわかること
PSRは特に、利益が出ていない赤字企業や成長中のベンチャー企業を評価する際に有効です。
なぜなら、利益が出ていなくても売上がしっかり上がっている企業は、将来的な成長が期待されることが多いからです。
一方で、売上は大きいのに利益が出ていない企業の場合、PSRが高すぎると要注意。
投資家の「期待」だけで株価が上がっている可能性があります。
📉 PSRの目安と活用ポイント
| PSRの値 | 評価の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 1倍以下 | 割安 | 売上に対して株価が安い。成長余地あり。 |
| 約1〜3倍 | 適正 | 業界平均と比べて妥当な水準。 |
| 3倍以上 | 割高 | 将来の成長期待が織り込み済み。要注意。 |
ただし、業種によってPSRの適正値は異なります。
たとえば、ITやバイオなどの成長産業はPSRが高めになる傾向がありますが、製造業や小売業などでは1倍前後が一般的です。
⚠️ PSR分析の注意点
PSRは「売上高」を基準にした指標であるため、利益率やコスト構造は反映されません。
つまり、売上は多くても経費がかかりすぎて赤字というケースでは、PSRだけでは実態を見誤ることがあります。
そのため、PSRを見る際は以下の指標と併用するのが理想です。
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PER(株価収益率):利益との関係を確認
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PBR(株価純資産倍率):資産面からの評価
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ROE(自己資本利益率):経営効率を確認
🧭 まとめ:PSRで企業の「期待値」を読み解く
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PSR=時価総額 ÷ 売上高
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利益が出ていない企業でも、売上の伸びで将来性を評価できる
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ただし、PSRが高すぎる企業は要注意
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他の指標と合わせて総合的に判断することが重要
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