社会保険とは

社会保険とは?種類や加入条件、扶養・パート加入のポイントをわかりやすく解説

働く人や企業の労務担当者にとって、社会保険は生活や働き方に直結する大切な制度です。

この記事では、社会保険の基礎知識から加入条件、扶養の考え方、パート・アルバイトの加入条件まで、初心者にもわかりやすく整理して解説します。

社会保険とは?

社会保険は、国民が病気やケガ、老後、失業など生活のリスクに備えるための公的保険制度です。一般的には以下の種類があります。

広義の社会保険

  • 健康保険

  • 介護保険(40歳以上)

  • 厚生年金保険

  • 雇用保険

  • 労災保険

狭義の社会保険

  • 健康保険

  • 厚生年金保険

  • 介護保険(40歳以上)

広義では5種類すべてを含み、狭義では健康保険と厚生年金を中心に考えます。会社員や公務員は原則として社会保険に加入することが義務付けられています。

社会保険の種類と特徴

1. 健康保険

被保険者や家族が病気やケガをした際、医療費の自己負担を軽減する制度です。協会けんぽや健康保険組合に加入することで、病院窓口での支払いは原則3割(自己負担)になります。

2. 介護保険

40歳以上の被保険者は介護保険料を支払うことで、介護サービスを低負担で受けられます。65歳以上になると市区町村が運営する介護保険に自動移行します。

3. 厚生年金保険

老後の年金、障害年金、遺族年金を受給できる制度です。給与に応じた保険料を会社と従業員で折半して納付します。

4. 雇用保険

失業時の生活を支える保険です。育児休業給付や介護休業給付なども含まれ、労働者の生活安定や就業機会の拡大を目的としています。

5. 労災保険

仕事中や通勤中のケガや病気に対応する保険です。保険料は事業主が全額負担し、被保険者の負担はありません。

社会保険と国民健康保険の違い

  • 社会保険:会社員や公務員が勤務先を通じて加入

  • 国民健康保険:自営業者や学生、職業に就いていない人が市区町村単位で加入

  • 大きな違い:扶養制度の有無や保険料負担(社会保険は折半、国保は全額自己負担)

 

社会保険の加入条件

事業所の場合

  • 強制適用事業所:株式会社や合同会社、従業員5人以上の個人事業所(農林漁業・サービス業の一部を除く)

  • 任意適用事業所:強制適用事業所以外でも、社員の半数以上の同意があれば加入可能

従業員・パート・アルバイトの場合

  • 週の所定労働時間が20時間以上

  • 月額賃金が8.8万円以上

  • 雇用期間の見込みが2カ月以上

  • 学生でない

  • 従業員数51人以上の企業(2024年10月以降)

※「週20時間以上」の基準は所定労働時間で残業は含まれません。

扶養から外れる条件とメリット

  • 年間給与所得が130万円を超えると扶養から外れ、社会保険加入が必要

  • 自分で加入するメリット:

    • 老後に受け取る年金が増える

    • 障害年金・遺族年金が受け取れる

    • 傷病手当金や出産手当金の対象になる

 

社会保険料の計算方法

健康保険料

給与から納付 = 標準報酬月額 × 健康保険料率
事業主負担 = 上記 ÷ 2

介護保険料(40~65歳)

給与から納付 = 標準報酬月額 × 介護保険料率
事業主負担 = 上記 ÷ 2

厚生年金保険料

給与から納付 = 標準報酬月額 × 厚生年金保険料率
事業主負担 = 上記 ÷ 2

※賞与についても同様の計算式が適用されます。

社会保険の手続き

従業員の場合

  • 扶養家族がいる場合は「健康保険・厚生年金被扶養者(異動)届」を提出

事業主の場合

  • 法人設立時や従業員入社時に資格取得手続きを行う

  • 退職時には資格喪失手続きを行う

 

まとめ

社会保険は、病気やケガ、老後、育児・介護など生活のさまざまなリスクから私たちを守る重要な制度です。パートやアルバイトでも条件に該当すれば加入義務があり、扶養の範囲を超えた場合は自ら保険料を納めることで将来の年金や手当の受給額が増えます。

企業の人事労務担当者は、加入条件や手続きを正確に把握し、従業員に適切な情報提供を行うことが重要です。

さらに参照してください:

事業所得とは?雑所得との違いから確定申告まで徹底解説

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