随時償却(ずいじしょうきゃく)は、企業が自社の判断で自由に償却額を決定できる会計処理の一つです。
主に繰延資産(くりのべしさん)に適用される償却方法であり、利益調整や費用計上の柔軟性を高める目的で用いられます。
この記事では、随時償却の仕組み・対象・メリットを初心者にもわかりやすく解説します。
随時償却とは
随時償却とは、企業や法人が任意のタイミングで、任意の金額を償却できる制度のことです。
通常の減価償却が一定の期間と割合に従って行われるのに対し、随時償却ではその制限がなく、企業の判断で柔軟に費用化することが可能です。
この制度は、一部を除く繰延資産(Deferred Assets)に適用されます。
繰延資産とは、すでに支出した費用のうち、将来の利益に貢献するために資産として計上しておく支出を指します。
随時償却の対象となる資産
随時償却が認められるのは、社債発行差金や税法独自の繰延資産を除くほとんどの繰延資産です。
主な対象資産は以下の通りです。
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創業費
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開業費
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建設利息
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試験研究費
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開発費
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新株発行費
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社債発行費
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1998年3月31日以前に取得された営業権
一方、税法上の「独自の繰延資産」として扱われ、随時償却の対象外となるものには次のような費用があります。
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公共的施設の負担金
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共同的施設の負担金
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借家権利金
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広告宣伝用資産の贈答費用
「任意償却」とも呼ばれる理由
随時償却の最大の特徴は、「いつでも・いくらでも」償却できる点にあります。
この自由度の高さから、随時償却は「任意償却」とも呼ばれています。
例えば、業績が良く利益が多い年度には多めに償却し、赤字の年には償却を見送るといった柔軟な対応が可能です。
これにより、費用と利益をうまく対応させ、より安定した損益計算が行えます。
随時償却のメリット
随時償却を採用することで、次のような利点があります。
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利益に応じた費用計上ができる
利益が大きい年には償却を増やすことで、税負担を抑えることが可能です。 -
会計上の合理性が高い
費用と収益を対応させることができ、期間損益の計算がより実態に近くなります。 -
資金繰りの柔軟性が向上する
償却のタイミングを調整できるため、経営計画やキャッシュフロー管理に役立ちます。
まとめ
随時償却とは、企業が任意のタイミングで繰延資産を償却できる柔軟な制度です。
創業費や開業費などを対象とし、利益や経営状況に応じた費用計上が可能となるため、会計上も税務上も合理的な手法といえます。
適切に活用すれば、企業の財務戦略や税務計画において大きな効果を発揮するでしょう。
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