会社を解散する際に必ず作成しなければならない財務書類の一つが「清算貸借対照表」です。
この表は、会社の資産・負債・純資産の最終的な状況を整理して示すもので、清算手続きの中心的役割を果たします。
この記事では、清算貸借対照表の基本的な考え方や作成方法、通常の貸借対照表との違いをわかりやすく解説します。
清算貸借対照表とは
清算貸借対照表とは、会社が解散する際に作成される特別な貸借対照表です。株式会社が清算を行う場合、法律上、清算人は以下の2つの書類を作成する義務があります。
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財産目録
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貸借対照表
清算貸借対照表は、この財産目録をもとに作成され、会社の財産構成を「見取り図」のように整理して表示するものです。解散日現在の資産や負債の状況を明確に示すことで、株主や債権者への情報提供や清算手続きの基礎資料として利用されます。
清算貸借対照表の特徴
通常の貸借対照表との大きな違いは、資産の評価方法と純資産の扱いにあります。
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資産の評価
通常の貸借対照表では簿価で資産を計上しますが、清算貸借対照表では売却時価を基準に資産を評価します。これは、会社が事業を継続せず、資産を現金化することを前提としているためです。 -
純資産の扱い
清算時には、資本金や剰余金といった区分は不要です。資産から負債を差し引いた純資産としてまとめられます。 -
区分表示のルール
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資産の部と負債の部は細分化して表示
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純資産の部は一括で表示
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清算貸借対照表作成の流れ
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財産目録の作成
解散日現在の資産・負債をすべてリストアップし、売却時価に基づいて評価します。 -
資産・負債の分類
現金・預金、売掛金、在庫、固定資産などに分け、負債も借入金や買掛金などに分類します。 -
貸借対照表の作成
資産と負債を整理し、純資産を算出して表形式で作成します。 -
株主・債権者への報告
完成した清算貸借対照表は、清算手続きの一部として株主や債権者に報告されます。
清算貸借対照表の重要性
清算貸借対照表は、会社の解散手続きを円滑に進めるために欠かせない書類です。これを正確に作成することで、株主への公平な分配や債権者への適切な清算を行うことが可能になります。
また、会計や税務の観点からも重要で、清算過程での損益計算や税務申告の基礎資料として活用されます。
まとめ
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清算貸借対照表は会社解散時に作成される特別な貸借対照表
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資産は売却時価で評価、純資産は区分せず一括表示
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財産目録を基に作成し、株主や債権者への情報提供や清算手続きに利用される
会社の清算は複雑な手続きですが、清算貸借対照表を正しく作成することで、透明性の高い手続きを実現できます。
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