固定資産の管理や会計処理を行う上で、「残存価額」という言葉を耳にすることがあります。
これは減価償却に関わる重要な会計概念であり、企業の資産管理や税務処理に直接影響します。
この記事では、残存価額の意味や具体例、会計・税務上の扱いまで、初心者にもわかりやすく解説します。
1. 残存価額の基本概念
残存価額とは、固定資産の法定耐用年数が経過した後に残る価値のことを指します。
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例えば建物や店舗などの固定資産は、耐用年数を過ぎると価値は減少しますが、完全に無価値になるわけではありません。
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この「まだ価値がある部分」が残存価額です。
ポイントとして、残存価額は減価償却累計額を差し引いた現在価値とは異なる概念です。取得原価からこれまでの減価償却費を引いた額はあくまで現在価値であり、残存価額とは区別されます。
2. 残存価額の具体例
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店舗やオフィスビル
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法定耐用年数を過ぎても、改装や賃貸活用の対象となる場合は価値が残る
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機械設備
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生産能力は落ちているものの、部品取りや中古市場での価値が残る
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このように、残存価額は資産の再利用価値や市場価値を示す目安としても重要です。
3. 減価償却との関係
減価償却は、取得した固定資産の価値を耐用年数に応じて費用として配分する会計処理です。
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法定耐用年数を過ぎると通常は償却を終えますが、残存価額がある場合、その分は減価償却の対象外となります。
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これにより、資産の帳簿価額には残存価額が残ります。
4. 日本の税制における残存価額の変遷
日本の税制では、2006年までは固定資産の残存価額は取得原価の10%と定められていました。
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これにより、設備投資後に全額償却できないことがあり、企業の投資意欲に影響するケースもありました。
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しかし、2007年度の税制改正により、残存価額を1円まで減価償却可能となり、資産の完全償却が可能になっています。
5. まとめ
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残存価額とは、法定耐用年数経過後に資産として残る価値
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減価償却累計額を引いた現在価値とは異なる
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日本の税制では現在、1円まで減価償却可能であり、企業の設備投資に柔軟性をもたらしている
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会計処理や資産管理、税務申告において重要な指標
残存価額の概念を正しく理解することで、固定資産の評価や減価償却、税務戦略の立案に役立てることができます。
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