棚卸計算法とは

棚卸計算法とは?基礎からやり方・継続記録法との違いまでわかりやすく解説

棚卸計算法は、売上原価や原材料費を算定するうえで重要な計算方法です。

棚卸資産の数量を実地で確認し、その期の消費量や販売量を逆算するしくみになっています。

経理初心者にとってつまずきやすいテーマですが、ポイントを押さえれば難しくありません。

本記事では、棚卸計算法の基本、計算手順、メリット・デメリット、継続記録法との違いを丁寧に解説します。

棚卸計算法とは

棚卸計算法とは、期末の実地棚卸で在庫数量を確定し、そこから売上数量または材料の消費数量を逆算する方法です。
算式は非常にシンプルで、以下のとおりです。

原材料費(または売上原価)
= 期首在庫量 + 期中仕入量 - 期末在庫量

在庫を正確に把握することで、企業の「その期に実際どれだけ消費したのか」を計算します。

棚卸計算法のやり方

棚卸計算法は、以下の流れで進めます。

  1. 実地棚卸の実施
     倉庫や店舗で、商品・原材料の実在庫数量を目視確認します。棚卸表や在庫リストと照合して数え漏れや不一致を排除します。

  2. 商品の状態確認
     破損・汚損・品質劣化などもあわせてチェックし、必要に応じて減耗損や評価損を計上します。

  3. 棚卸額の集計
     実地棚卸で確定した期末在庫額を算出します。

  4. 原価の逆算
     「期首在庫+期中仕入-期末在庫」の計算式で売上原価(または原材料費)を求めます。

在庫管理の精度を担保するためには、棚卸の手順を毎期一定にし、複数人でクロスチェックするなどの運用が効果的です。

棚卸計算法のメリット

棚卸計算法の大きな利点は、期中の払出数量を細かく記録しなくても、期末の棚卸だけで消費量を把握できることです。
そのため以下のようなメリットがあります。

・帳簿入力の手間が少なく、業務負担を減らせる
・重要度の低い棚卸資産の管理に向いている
・倉庫や店舗が多い小売業では特に運用しやすい

簡易的に原価計算をしたい場合には、とても効率的な方法といえます。

棚卸計算法のデメリット

一方で、棚卸計算法には注意点もあります。

・原価の正確性が落ちやすい
・期中の減耗が原価に混ざってしまう
・在庫紛失や管理ミスに気付くのが遅れる
・高額な商品や重要な資産の管理には不向き

「期末の棚卸一本で把握する」仕組みだからこそ、帳簿と実際の差異が大きくなりやすい点は理解しておきましょう。

棚卸計算法と継続記録法の違い

棚卸資産の原価算定方法には、大きく二つがあります。

棚卸計算法
払出量を記録しない。期末在庫から逆算で原価を求める。実地棚卸を実施する。

継続記録法
仕入と払出の両方を帳簿に逐次記録するため、原価をリアルタイムで把握できる。実地棚卸は必須ではない。

この二つは性質が異なるため、企業では重要度の高い資産には継続記録法、消耗品や低額備品には棚卸計算法など、併用するケースが一般的です。

そもそも棚卸しとは

棚卸しとは、企業が保有している商品・製品・材料などの数量を実際に確認し、価値を評価する作業のことです。決算時には必ず実施され、棚卸資産の金額は貸借対照表と損益計算書の両方に影響します。

棚卸計算法は、この「実地棚卸」を前提とした原価計算方法の一つです。

まとめ

棚卸計算法は、在庫の実地確認をもとに原価を逆算するシンプルで使いやすい手法です。ただし、原価の精度は継続記録法に劣るため、資産の重要度に応じて使い分けや併用を検討することが大切です。

さらに参照してください:

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