資産を購入したり処分したりする際、単に購入価格だけでなく、関連して発生する費用も考慮する必要があります。
こうした関連費用を会計用語では 「付随費用」 と呼びます。
この記事では、付随費用の意味や具体例、会計上の扱い方を初心者にもわかりやすく解説します。
付随費用の基本的な考え方
付随費用とは、資産の取得や処分に直接関係して発生する諸経費のことです。取得原価主義会計の考え方では、資産を「取得するためにかかったすべての費用」として取得原価に加算する必要があります。
つまり、購入価格だけでなく、資産を実際に利用可能な状態にするために必要な費用も含めるのです。
付随費用の具体例
資産の種類によって付随費用はさまざまですが、代表的なものは以下の通りです。
-
運送費・運送保険料:商品や機械を輸送する際に発生する費用
-
購入手数料・仲介手数料:取引業者への手数料
-
購入事務費:契約書作成や書類手続きにかかる費用
-
関税:輸入資産にかかる関税
-
据え付け費・試運転費:機械や設備を設置・稼働させる費用
-
保管費・移管費:資産を保管・移動させる費用
また、商品仕入や販売に関連する付随費用は、会計実務上 「諸掛」 と呼ばれることがあります。
付随費用に含めない費用
一方で、取得原価に含めない費用も存在します。一般的には以下のような経費は付随費用として計上しません。
-
不動産取得税・自動車取得税・事務諸税などの 租税公課
-
資産購入のために借り入れた資金の 利子
-
免許登録費用、固定資産税、都市計画税など
これらは資産取得に直接関係する費用ではなく、別途費用計上することが原則です。
会計上の重要性
取得原価に付随費用を加算することで、以下のメリットがあります。
-
正確な資産評価
資産が実際にいくらで取得されたかを正しく把握できる -
減価償却費の適正計算
付随費用を加えた総額をもとに減価償却費を計算できる -
財務状況の透明性向上
資産取得にかかった総コストが明確になり、外部からの信頼性が向上する
たとえば、機械設備を購入する場合、購入価格だけでなく、運送費や据え付け費も加えた金額で資産計上することで、正しい減価償却費の計算が可能になります。
まとめ
付随費用は資産取得や処分の際に見落としがちな重要費用です。取得原価主義会計では、これらを適切に加算して資産を評価することで、財務諸表の正確性と信頼性を高めることができます。
初心者でも、資産取得に伴う運送費や手数料、据え付け費などを「付随費用」として把握することから始めると理解しやすいでしょう。
さらに参照してください:

