株式投資や企業間投資が一般化する中、「配当課税」について調べる人が増えています。特に法人が受け取る配当金は、税務上どのように扱われるのか気になるところですよね。
この記事では、配当課税の基本、法人税との関係、そして「益金不算入制度」の仕組みを、会計の専門家としてわかりやすく解説します。
配当課税とは?
配当課税とは、上場株式の配当金、公募株式投資信託の収益分配金などに課される税金のことです。
配当課税には個人と法人がありますが、ここでは企業が受け取る「法人の配当課税(受取配当金)」を中心に扱います。
受取配当金は原則として益金(法人税の課税対象)に算入されないものの、その全額が自動的に益金不算入となるわけではありません。ここが理解のポイントになります。
配当所得と配当課税の関係
配当所得とは、株主や出資者が法人などから受け取る配当金や投資信託の分配金を指します。
個人の場合
配当所得は原則「総合課税」で、他の所得と合算して所得税と住民税が課されます。ただし、配当受領時に一定額が源泉徴収されています。
法人の場合
法人が受け取る配当金(受取配当金)は、二重課税を避けるため益金不算入の制度が設けられています。
益金不算入制度とは?制度の背景を理解しよう
なぜ受取配当金の一部が法人税の課税対象から外れるのか。理由は「二重課税を防ぐため」です。
株式会社は事業活動で得た利益に法人税を支払います。その税引後の利益から株主へ配当が支払われます。
もし受け取った側の法人にも再び法人税を課せば、同じ利益に対して二度課税されることになります。
また、子会社から親会社への配当についても、同じく二重課税とみなされるため、益金不算入が認められています。
企業グループ間の投資活動を妨げないようにする、という政策的な意図も含まれているわけです。
受取配当金の益金不算入制度の具体的な内容
法人税法では、株式の保有割合に応じて益金不算入の割合が異なります。
特によく使われるのが次の区分です。
・保有割合25%未満の会社からの配当
→ 受取配当金の50%が益金不算入
また、配当を得るために借入金で株式を取得している場合、その借入金の支払利息は、益金不算入の対象額から控除される点に注意が必要です。
上場株式等の配当課税の税率は、平成26年1月1日から現在の所得税15%、住民税5%に変更されています。税率が変わったタイミングは配当の支払開始日が基準となります。
投資信託(公募株式投資信託)の分配金については、決算日を基準に税率変更が適用されます。
具体例でイメージする受取配当金の計算
例えば、A社が保有割合10%のB社株式から100万円の配当を受け取った場合、
【益金不算入割合】50%
益金不算入額:100万円 × 50% = 50万円
課税対象となる益金:100万円のうち残り50万円
借入金による取得の場合は、この不算入額から支払利息を控除して計算します。
こうした仕組みを理解しておくと、法人の投資戦略や決算対策にも役立ちます。
まとめ
配当課税は、個人と法人で取り扱いが大きく異なります。特に法人の場合は「益金不算入制度」がカギになります。
・受取配当金は二重課税を避けるため益金不算入の対象
・保有割合25%未満の配当は50%が不算入
・借入金利息の控除ルールにも注意
・税率変更の基準日は配当支払開始日(投資信託は決算日)
さらに参照してください:

