不渡手形とは

不渡手形とは?不渡りの影響と仕訳、回避方法を徹底解説

会社経営をしていると、「不渡り」という言葉を耳にすることがあります。

しかし、不渡りが具体的に何を意味するのか、また会社や取引先にどのような影響があるのかを正しく理解している人は少ないかもしれません。

この記事では、不渡手形の基本から仕訳例、回避策までをわかりやすく解説します。

不渡手形とは?

不渡手形とは、支払期日に手形を現金化できなかった状態のことを指します。手形は一定期間後に現金化できる約束証書で、企業は資金不足でも物品やサービスの購入に利用できます。しかし、期日までに当座預金に資金がない場合、手形は現金化できず「不渡り」となります。

手形の種類と特徴

  • 約束手形(振出手形):支払うことを約束した証書

  • 小切手:即時支払いの証書
    2026年度末には紙の手形・小切手の運用が終了し、電子記録債権や振込などに移行予定です。

 

不渡りを起こすとどうなる?

不渡りが発生すると、取引先や金融機関に大きな影響があります。

取引先への影響

  • 代金が入金されず、資金繰りに支障

  • 信用を失い、取引停止や新規取引の困難化の可能性

金融機関への影響

  • 銀行は「不渡届」を手形交換所に提出

  • 不渡情報は全国の金融機関に通知され、融資が受けにくくなる

  • 半年以内に不渡りが2回続くと、銀行取引停止のリスク

 

不渡りの種類

不渡りには3種類があります。

  1. 0号不渡り
    記載ミスなどによる不渡り。会社の信用には影響なし。

  2. 1号不渡り
    残高不足や口座解約などで発生。信用低下の原因となる。

  3. 2号不渡り
    偽造・盗難・契約不履行などで発生。異議申し立てにより信用への影響は回避可能。

 

不渡手形の仕訳例

不渡りが発生した場合

例:A社の約束手形10万円が不渡りになり、償還請求費用1,000円を支払った場合

借方 貸方
不渡手形 101,000 受取手形 100,000
現金 1,000

不渡手形を回収した場合

例:延滞利息100円を受け取った場合

借方 貸方
現金 100,100 不渡手形 100,000
受取利息 100

回収できなかった場合

例:貸倒引当金1万円を設定していた場合

借方 貸方
貸倒損失 90,000 不渡手形 100,000
貸倒引当金 10,000

不渡りを回避する方法

  1. 売掛金の資金化(ファクタリング)
    手形を期日前に現金化でき、資金繰り改善に有効。

  2. 手形のジャンプ
    支払期日の延長交渉。振出側の信用低下を防げる。

  3. 過振り
    当座預金の不足分を銀行に立替てもらう。信用度の高い企業向け。

 

手形・小切手は2026年廃止予定

廃止の理由:

  • 入金までの期間短縮

  • コスト削減(印紙代・郵送料)

  • 紛失や盗難などリスク軽減

廃止後の決済手段:

  • 振込:銀行口座への直接入金

  • 電子記録債権(でんさい):債権情報を電子化、期日到来で自動入金

 

まとめ

不渡手形は、会社の信用や資金繰りに直結する重要な会計項目です。1号不渡りや2号不渡りは金融機関や取引先に大きな影響を与えるため、回避策を理解しておくことが重要です。2026年の手形・小切手廃止に伴い、電子記録債権や振込などの代替手段の理解も今から進めておきましょう。企業経営において、不渡手形を出さない安全な経営を意識することが鍵となります。

さらに参照してください:

複名手形とは?単名手形との違いや手形の裏書・引受をわかりやすく解説

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