企業グループの経営戦略を考えるうえでよく耳にする 持株会社(ホールディングカンパニー)。
聞き慣れない言葉ですが、経営効率や事業戦略に大きく関わる重要な仕組みです。
この記事では、持株会社の基本、種類、メリット・デメリットまでわかりやすく解説します。
持株会社とは?
持株会社とは、子会社の株式の取得価額の合計が総資産の50%を超える会社のことを指します。単に株式を保有して子会社を統制する会社形態で、直接事業を行わない場合もあります。
持株会社の種類
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純粋持株会社
自社では事業を行わず、子会社の経営統括や戦略策定を目的とする会社。 -
事業持株会社
自社も事業を行いながら、子会社を支配する会社。事業運営とグループ統括の両方を担います。
持株会社設立のガイドライン
戦後、日本では長らく純粋持株会社は認められていませんでした。しかし、平成9年の独占禁止法改正により設立が可能になりました。ただし、公正取引委員会は事業支配力が過度に集中する場合を禁止しています。
禁止される持株会社の例
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規模の大きい会社グループで、複数の主要事業分野において別々の大規模会社を保有する場合
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大規模金融会社と、金融以外の大規模会社を同一グループで保有する場合
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相互に関連性のある主要事業分野において、有力な会社を複数保有する場合
これらに該当すると、自由競争を妨げる可能性があるとして設立が制限されます。
持株会社を設立するメリット
持株会社を設立する主なメリットには以下があります。
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経営戦略の明確化
グループ全体の意思決定や経営資源配分が効率化されます。 -
責任と役割の明確化
持株会社と子会社の役割を分離することで、業績評価や責任範囲が明確になります。 -
M&Aの容易化
事業の買収・売却・再編が柔軟に行えます。 -
経営効率の向上
戦略と事業の分離により、経営判断の迅速化が可能になります。
持株会社のデメリット
一方で、持株会社には注意すべき点もあります。
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分社化により求心力が低下する
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グループ会社が増えることで間接部門コストが増加
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子会社間の横連携が取りにくくなる
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赤字の持株会社や子会社がある場合、グループ全体の信用不安が連鎖する可能性
まとめ
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持株会社とは、子会社株式の50%超を保有し、グループ統括や経営戦略を担う会社形態。
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種類は純粋持株会社と事業持株会社があり、目的に応じて使い分けられます。
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メリットは経営効率向上、責任の明確化、M&Aの容易化など。
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デメリットは求心力低下やコスト増、信用リスクの連鎖などです。
持株会社の設立は戦略的に大きなメリットがありますが、規制やデメリットを理解したうえで計画的に検討することが重要です。
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