企業が株式や債券といった有価証券を売却した際に発生する「有価証券売却益」。
経理ではよく登場する勘定科目ですが、「どんなときに使う?」「受取利息や配当金とは何が違う?」など、初心者には少し分かりにくい部分もあります。
この記事では、有価証券売却益の意味・使う場面・仕訳例・計算方法 を、会計の専門家としてできるだけわかりやすく解説します。
経理初心者の方や、これから決算処理を学ぶ方にも役立つ内容です。
有価証券売却益とは?(基本の意味)
有価証券売却益(ゆうかしょうけんばいきゃくえき)とは、有価証券を売却した際に発生する利益 のことです。
売却益は次の式で求めます。
売却益 = 売却価格 − 帳簿価額(取得価額)
ここで注意すべきなのは、「会計における有価証券の分類」です。
一般的に有価証券といえば株式・債券などをイメージしますが、会計上は保有目的によって次の4つに分類されます。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 売買目的有価証券 | 短期売買による利益を目的とした株式や債券 |
| 満期保有目的の債券 | 満期まで保有することを目的とした債券 |
| 関係会社株式 | 子会社・関連会社を支配する目的の持株 |
| その他有価証券 | 上記以外の長期保有株式など |
このうち 「売買目的有価証券」を売却した場合に使うのが「有価証券売却益」 です。
「投資有価証券売却益」を使うケース
同じ“売却益”でも勘定科目が異なる場合があります。
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売買目的 → 有価証券売却益
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その他の有価証券 → 投資有価証券売却益
長期保有株式や持ち合い株式を売却した際は、一般的に「投資有価証券売却益」を使います。
有価証券売却益は消費税の対象外
有価証券そのものの売買は「非課税取引」とされており、有価証券売却益は消費税の対象になりません。
(ただし、ゴルフ会員権など一部の例外は課税対象)
有価証券売却益の計算方法(基本)
例として、売買目的の株式を購入し、その後値上がりしたので売却したケースを考えてみます。
例:1株を購入 → 値上がり後に売却したケース
購入時
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株式:10,000円
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手数料:100円
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合計:10,100円(取得価額)
売却時
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売却価格:12,000円
売却益の計算
売却益 = 12,000円 − 10,100円 = 1,900円
シンプルなケースでは、このように取得価額と売却価格の差額で求められます。
同じ銘柄を何度も売買する場合の計算(平均法)
同じ銘柄を何度も購入・売却する場合、「売却した株式の原価」を特定する必要があります。
主に次の2つの方法があり、企業の会計方針により選択されます。
1. 移動平均法(1回購入するごとに平均単価を更新)
常に最新の平均単価を用いる方法です。
特徴
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実際の売買に近い
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都度平均単価を計算するため手間がかかる
(※#content の具体例を要点のみ保持しています)
2. 総平均法(一定期間の購入金額からまとめて平均を算出)
月次など一定期間の取引をまとめて平均化します。
特徴
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計算はシンプル
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売却タイミングごとに平均単価が変わらない
有価証券売却益の仕訳例
売買目的有価証券を売却した場合(利益が出た)
売却価格が帳簿価額より高いケース
売却損が出た場合
売却時の手数料がある場合
売却手数料は「支払手数料」で処理します(課税仕入)。
まとめ:有価証券売却益は“売買目的”に限定される点がポイント
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有価証券売却益とは 売買目的有価証券を売却した際の利益
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長期保有株式などを売却した場合は 投資有価証券売却益
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消費税は 非課税取引
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計算方法は「売却価格 − 帳簿価額」
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同一銘柄で頻繁に売買する場合は 移動平均法 or 総平均法 を使用
企業の決算や日常の経理処理ではよく使う知識なので、基本をおさえておくと仕訳の正確性がぐっと上がります。
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