企業経営において、「利益」は最も重要な指標のひとつです。
しかし、利益と売上の違いや、損益計算書に記載される複数の利益の種類については、初心者には少し分かりにくい部分もあります。
本記事では、利益の基本的な定義から種類、計算方法、さらに利益を上げるための具体的な方法まで、わかりやすく解説します。
利益とはそもそも何か?
利益とは、収益から費用を差し引いた残りの金額のことを指します。言い換えれば「会社が稼いだ純粋な儲け」です。企業は利益を上げることで事業を維持・成長させ、株主や投資家に還元することができます。
利益と売上の違い
売上とは、商品やサービスを販売して得た総額のことです。
たとえば、1,000円の商品を10個販売した場合、売上高は10,000円となります。しかし、商品の仕入れや販売にかかる費用があれば、その分を差し引いた金額が「利益」となります。
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売上高:1,000円 × 10個 = 10,000円
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費用:7,000円
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利益:10,000円 − 7,000円 = 3,000円
利益を正確に把握することが、経営状態を理解するための第一歩です。
利益の種類
損益計算書では、利益は以下の5種類に分けて表示されます。それぞれ意味が異なるため、正しく理解することが重要です。
1. 売上総利益(粗利益)
売上総利益は、売上高から売上原価を差し引いた利益です。
計算式:
売上原価には、仕入や製造コストが含まれます。売上総利益は、その企業の「本業での稼ぐ力」を示す指標です。
2. 営業利益
営業利益は、本業の営業活動から得られる利益です。
計算式:
販管費には、広告費、社員の給与、事務所家賃などが含まれます。営業利益が高いほど、本業での収益力が強いと判断できます。
3. 経常利益
経常利益は、営業利益に営業外収益・費用を加減した利益です。
計算式:
営業外収益には受取利息や配当金、営業外費用には支払利息などが含まれます。企業の平常的な総合収益力を把握するのに重要です。
4. 税引前当期純利益
税引前当期純利益は、経常利益に特別利益を加え、特別損失を差し引いた利益です。
計算式:
特別利益・損失は、固定資産の売却益や災害による損失など、一時的・臨時的な項目を指します。
5. 当期純利益
当期純利益は、税引前当期純利益から法人税等を差し引いた最終的な利益です。
計算式:
当期純利益がプラスであれば黒字、マイナスであれば赤字となり、企業の最終的な経営成績を示します。
利益を上げる方法
利益は「収益 − 費用」で算出されるため、基本的には以下の2つのアプローチで改善できます。
1. コストの削減
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売上原価や販管費、営業外費用などを見直す
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無駄な経費を削減し、効率化を図る
例:仕入れ先の見直しや業務効率化による人件費削減など
2. 収益の向上(価格戦略の見直し)
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販売単価や数量を増やすことで売上を拡大
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商品やサービスの付加価値を高め、単価を上げる
注意点:単純な値上げはリピーター減少につながるため、付加価値を伴う戦略が必要です
まとめ
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利益とは「収益から費用を差し引いた儲け」のこと
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損益計算書には5種類の利益があり、それぞれに役割と意味がある
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利益改善には「コスト削減」と「収益向上」の2つの方法がある
利益の種類や計算方法を正しく理解することで、企業の経営状態や事業戦略をより正確に把握できます。初心者でも損益計算書の分析を通じて、経営改善や利益向上につなげることが可能です。
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