連結外しとは

連結外しとは?粉飾決算と会計上の注意点をわかりやすく解説

企業の財務情報を正しく理解するうえで「連結決算」は非常に重要です。

しかし、時には意図的に連結決算から子会社や関連会社を除外する「連結外し」という手法が用いられることがあります。

本記事では、連結外しの仕組みや事例、法律・会計上の注意点を初心者でもわかりやすく解説します。

連結外しとは何か?

連結外しとは、本来連結決算の対象となる会社を意図的に外すことを指します。
通常、親会社は子会社や関連会社の財務情報を合算して連結決算を作成します。しかし、連結外しを行うと、企業集団全体の実態とは異なる利益や損失を報告できるため、粉飾決算の手法として悪用されることがあります。

たとえば:

  • 業績不振の子会社を意図的に連結対象から外し、親会社の利益をよく見せる

  • 不良在庫を別会社に移して損失を回避する

このような操作は、投資家や株主に誤った経営状況を伝えるリスクがあるため、会計上は非常に問題視されます。

連結外しの典型的な手法

  1. 持株比率の調整
    過去には、連結対象を決定する基準が「持分比率」だったため、親会社が子会社の持株比率を下げることで連結対象外にするケースがありました。

  2. 在庫の移管
    不良在庫を処理するため、特定の子会社や関連会社に在庫を販売し、連結損益計算書上では利益を出す手法です。

  3. 投資事業組合の活用
    企業が投資事業組合を設立し、子会社に出資して支配権を握ったうえで在庫を販売するなど、複雑なスキームを使う場合もあります。

 

会計上の原則と連結外しの線引き

会計基準では、実質的に支配している会社はすべて連結対象とされています。しかし、「実質的な支配」の判定は微妙であり、場合によっては監査でも連結外しを見抜くのが難しいことがあります。

例外として、次の場合は連結対象外が認められることがあります:

  • 意思決定機関を事実上支配していない場合

  • 過半数の議決権を持つ株主が存在する場合

  • ベンチャーキャピタルなど投資目的の出資で支配権が不明確な場合

ただし、親会社や関係会社が影響力を持つ場合や、意思決定機関の操作が明確な場合は、例外として認められません。

まとめ:連結外しはリスクを伴う

連結外しは財務情報を操作できる手段ですが、企業の透明性を損なうリスクが高く、粉飾決算に繋がる可能性があります
投資家や株主が企業の実態を正しく把握できるよう、連結決算の正確性を維持することが重要です。

連結外しの理解は、財務諸表を読む上で非常に役立ちます。特に投資や企業分析を行う場合は、連結対象の有無や手法に注意してチェックすることが大切です。

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