自己宛小切手(じこあてこぎって)は、銀行が自らを支払人として振り出す小切手のことで、信頼性が非常に高い決済手段として知られています。
不動産取引などの高額決済でも利用されるため、企業経理や営業担当はもちろん、一般の方でも知っておきたい金融知識の一つです。
この記事では、自己宛小切手のしくみ、種類、メリット、実際の使用例まで、会計の専門家がやさしく解説します。
自己宛小切手とは?基本のしくみ
自己宛小切手とは、銀行が 自分自身を支払人(支払う側)として振り出す小切手 のことです。
通常の小切手は「企業→銀行→受取人」という流れですが、自己宛小切手の場合は 銀行→受取人 の決済構造になります。
● 不渡りのリスクがほぼゼロ
銀行自身が支払人であるため、資金不足で不渡りになる可能性が極めて低い点が最大の特徴です。
そのため、安全性が求められる高額決済で多く利用されます。
自己宛小切手の種類:預金小切手と送金小切手
自己宛小切手は、さらに次の2種類に分類されます。
1. 預金小切手(預手)
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振り出した銀行が 同じ銀行の同一店舗 を支払人とする小切手
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同一支店内で処理されるため、よりシンプルで迅速
2. 送金小切手
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振り出した銀行の 別支店 または 他行 を支払人とする小切手
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広域的な送金や店舗間取引に利用される
どちらも高い信用力を持ち、一般的な小切手より安全性が高い決済手段として扱われています。
自己宛小切手が利用されるシーン
自己宛小切手は、以下のような場面で活用されます。
● 信頼性が求められる支払い
信用力に不安が残る会社が取引先へ確実に支払いたい場合、
「不渡りの心配がない自己宛小切手」が選ばれることがあります。
● 高額取引(特に不動産取引)
不動産売買の場面では、現金の持ち歩きはリスクが高いため、
現金と同等の信頼性を持つ自己宛小切手が広く利用されています。
● 銀行間・店舗間の確実な資金移動
送金小切手を用いることで、別支店や他行へ安全に資金を移動できます。
自己宛小切手は現金とほぼ同じ扱い
銀行が支払人であることから、自己宛小切手は「現金に非常に近い性質」を持っています。
商取引では実際に現金同様に扱われるケースが多く、相手先からの信頼獲得にも有効です。
銀行側の手続きはどうなっているのか?
自己宛小切手を発行する際、銀行では以下の手順を踏みます。
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顧客(振出依頼人)から小切手の発行依頼を受ける
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顧客の 預金口座から振替、または 現金の入金 を確認
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資金が確保された時点で自己宛小切手を発行
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依頼人へ交付する
このプロセスにより、銀行は確実に資金があることを確認してから小切手を発行するため、結果として不渡りリスクがほぼゼロになります。
まとめ:自己宛小切手は「安全性の高い決済手段」
最後にポイントを整理します。
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自己宛小切手とは、銀行が自らを支払人として発行する小切手
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不渡りリスクが非常に低く、高額取引や信用補完に最適
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種類は「預金小切手」と「送金小切手」の2つ
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現金とほぼ同等の扱いで利用される
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銀行は資金確認後に発行するため安全性が高い
自己宛小切手は、企業の信頼度を高めたい場面や、安全な決済が求められる場面で非常に有効なツールです。
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