企業の資金調達方法のひとつである「長期借入金」。
経理担当者だけでなく、経営者にとっても理解しておくべき重要な会計用語です。
この記事では、長期借入金とは何か、短期借入金との違い、仕訳の基本をわかりやすく解説します。
長期借入金とは(定義)
長期借入金とは、返済期限が貸借対照表日の翌日から起算して1年以上の借入金を指します。
銀行をはじめ、関係会社、役員、個人などからの借入が該当します。
貸借対照表では、固定負債の区分に表示されます。
短期借入金との違い
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1年以内に返済期限が到来する借入金 → 短期借入金
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1年を超えて返済する借入金 → 長期借入金
なお、契約上は長期借入金であっても、
返済期限が翌期に到来する部分は「短期借入金」に振り替える必要があります。
これが「1年基準(ワン・イヤー・ルール)」です。
長期借入金の表示区分
長期借入金は、借入先によって科目の表示が変わる場合があります。
| 借入先 | 表示例 |
|---|---|
| 役員 | 役員長期借入金 |
| 従業員 | 従業員長期借入金 |
| 関連会社 | 関連会社長期借入金 |
また、借入金の内訳は「借入金等明細表」で開示することが求められます。
長期借入金の仕訳例
ここからは、実務でよく使われる仕訳を具体的に紹介します。
「長期借入金 仕訳」で検索される方が多いポイントを網羅しています。
① 銀行から長期借入を受け、当座預金に入金された場合
例:銀行より10,000,000円を2年契約で借り入れた
② 長期借入金の返済(元金+利息)
例:元金500,000円と利息10,000円が引き落とされた
※利息と元金は必ず「別々」に contabilize する点が実務上のポイントです。
保証料を含む場合は、金額に応じて「保証料」「支払手数料」で処理するケースもあります。
③ 翌期に返済期限が到来するため短期借入金に振替える場合
例:長期借入金20,000,000円の返済期限が翌期の場合
振替処理により、返済予定の金額が短期借入金として表示され、より正確な財政状態が示されます。
長期借入金に関する注意点
1. キャッシュ・フロー計算書との関係
返済額のうち元金部分は財務活動によるキャッシュフロー(CF)に、
利息部分は営業活動CFに分類されます。
2. 契約条件の開示
金融機関からの借入金では、
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返済期限
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返済方法
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金利
などの条件を注記で明確に開示する必要があります。
3. 借入金が経営分析に与える影響
長期借入金は、財務レバレッジや負債比率など、企業評価に直結する項目です。
過度な負債は財務リスクを高めますが、適切な借入は資金繰りの安定に役立ちます。
まとめ:長期借入金とは何か
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返済期限が1年超の借入金のこと
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貸借対照表では固定負債に表示
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返済期限が近い部分は短期借入金へ振替える
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元金と利息は仕訳で分けて処理
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企業の資金調達・財務分析において重要な科目
長期借入金は、会社の資金繰りや財務健全性に直結する重要な負債項目です。
正しい理解と適切な処理が、経営管理の質を左右します。
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