期首商品棚卸高は、経理や簿記の学習で必ず出てくる重要な勘定科目です。
前期から繰り越された在庫を正しく管理し、適正な売上原価を計算するためには欠かせません。
この記事では、期首商品棚卸高の意味から仕訳、消費税区分、売上原価の計算方法まで初心者にもわかりやすく解説します。
期首商品棚卸高とは?
期首商品棚卸高とは、期首時点で残っている商品在庫の金額を指します。
具体的には、前期末の「期末商品棚卸高」がそのまま翌期の「期首商品棚卸高」として引き継がれます。
商品評価方法
期首商品棚卸高を計算する際は、商品の評価方法に注意が必要です。
主な評価方法には以下があります:
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先入先出法(FIFO)
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移動平均法
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最終仕入原価法(LIFO)
評価方法に応じて、期末商品棚卸高および期首商品棚卸高の金額が変わるため、売上原価の計算にも影響します。
期首商品棚卸高の仕訳例
期首商品棚卸高は、決算時に仕訳として計上します。
ここでは、最も基本的な「三分法」を用いた例を紹介します。
事例
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期首商品棚卸高:15,000円
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当期仕入高:390,000円
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当期売上高:500,000円
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期末商品棚卸高:10,000円
仕訳例
1. 仕入時
| 借方 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|
| 商品仕入 | 買掛金 | 390,000円 |
2. 売上時
| 借方 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|
| 売掛金 | 売上高 | 500,000円 |
3. 決算時(期首商品を仕入勘定に振替え)
| 借方 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|
| 商品仕入 | 繰越商品(期首商品棚卸高) | 15,000円 |
4. 決算時(期末商品を仕入勘定から除外)
| 借方 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|
| 繰越商品(期末商品棚卸高) | 商品仕入 | 10,000円 |
この処理により、売上原価が正確に計算され、損益計算書上での期間損益が適正になります。
期首商品棚卸高の消費税区分
期首商品棚卸高そのものは消費税の課税対象外(不課税)です。
しかし、仕入れた時点で消費税は仕入税額控除の対象となり、売上に対応して消費税が計算されます。
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棚卸商品は翌期に売上原価として計上される
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仕入れ時の消費税は控除可能
詳細は国税庁の「仕入税額控除の対象となるもの(No.6451)」を参照してください。
期首商品棚卸高と期末商品棚卸高の関係
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期末商品棚卸高:決算時点の在庫。貸借対照表に「商品」として表示
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期首商品棚卸高:翌期に繰り越され、期首在庫として計上
売上原価は次の式で計算されます:
正確な棚卸高を把握することで、期間損益の適正化や経営状態の正確な把握が可能になります。
売上原価計算には棚卸が必須
製造業や小売業では、商品だけでなく、材料・製品・仕掛品・半製品なども棚卸資産として計上する必要があります。
在庫管理を徹底し、期首・期末の棚卸高を正確に把握することが、経営判断や税務申告の精度向上につながります。
まとめ
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期首商品棚卸高は前期末の在庫を引き継いだもの
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決算時の仕訳で売上原価と対応させる
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消費税は仕入れ時に控除可能
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売上原価 = 期首棚卸高 + 当期仕入高 – 期末棚卸高
期首商品棚卸高の理解は、正確な経理処理と適正な決算書作成に欠かせません。
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