ネットショップを運営していると、つい「売上=そのまま自分の口座に入ってくるもの」と考えてしまいがちです。しかし実際には、決済代行サービスを利用する以上、売上金の入金には“債権”としての性質があり、そこには回収できなくなるリスクが存在します。
この記事では、決済の専門家として、初心者でも理解できるように 「債権未回収リスク」 をわかりやすく解説します。
債権未回収リスクとは?(読み方:さいけんみかいしゅうリスク)
債権未回収リスクとは、
本来ネットショップが受け取れるはずの売上金を、何らかの事情で回収できなくなるリスクを指します。
特にオンライン決済では、売上金は一度「決済代行会社」に預けられ、締め日ごと・サイクルごとにまとめて入金される仕組みになっています。
この「預けている期間」に、決済代行会社が倒産・経営悪化などを起こした場合、売上金が戻ってこない可能性があります。
このリスクは、信用リスク(クレジットリスク)とほぼ同じ意味で使われます。
なぜネットショップで債権未回収リスクが発生するのか?
ネットショップの仕組みでは、
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お客様がクレジットカードや電子マネーで支払う
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売上金は一時的に決済代行会社にプールされる
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指定サイクルでショップの口座に振り込まれる
という流れになっています。
この「②〜③の間」で、売上金はショップのものとはいえ 決済代行会社に預けている状態 です。
つまり、ショップ側は「決済代行会社に対して売上金を回収する権利=債権」を持っている形になります。
そのため、
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決済代行会社の経営破綻
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資金繰りの悪化
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入金遅延や停止
といった事態が起きると、ショップが売上金を回収できなくなる可能性があります。
なぜ債権未回収リスクは軽視されやすいのか?
多くのネットショップ運営者が意識していない理由は以下の通りです。
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決済代行会社は大手が多く、倒産のイメージが湧きにくい
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サイクル入金に慣れてしまい、「売上金=入るのが当然」という感覚になる
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決済代行会社を選ぶ際、手数料ばかりに目が行き、信用力を比較しない
特に個人事業主や新規ショップでは知識が不足しがちな部分です。
実際に起きた事例:決済代行会社の業務停止で入金が滞るケース
過去には、決済代行会社が行政処分や倒産により業務が停止し、
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売上金が当面入金されない
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一部の加盟店は売上の一部を失った
という事例が複数あります。
近年のオンライン決済市場拡大に伴い、決済代行会社の数も増えているため、小さな事業者や新興企業を選んだ場合のリスクは高まりやすいのが実情です。
債権未回収リスクを減らすための具体的な対策
決済の専門家として、特に効果の高い対策をまとめます。
① 信頼できる決済代行会社を選ぶ
以下をチェックしましょう。
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資本金
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取引実績
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親会社の信用力
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金融庁や行政からの処分歴がないか
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セキュリティ認証(PCI DSS準拠など)の有無
特に大手企業が運営する決済代行は、債権未回収リスクが低い傾向にあります。
② 入金サイクルが短いサービスを選ぶ
「翌日入金」「早期入金オプション」などは、リスク低減に非常に有効です。
入金までの期間が短いほど、預ける金額と期間が小さくなり、リスクは自然と下がります。
③ 売上金の分散
複数の決済代行会社を使い分けるのも有効です。
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メイン:信頼性の高い大手
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サブ:手数料が安いサービス
など、リスクとコストのバランスを取りましょう。
④ 資金繰りプランを余裕を持って作る
売上金の入金が遅延しても事業が続けられるよう、キャッシュフロー計画を立てることが重要です。
まとめ:ネットショップ運営の“見落としがちなリスク”に備えよう
「債権未回収リスク」は、ネットショップ運営における非常に重要なテーマですが、多くの店舗が深く理解していない領域です。
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決済代行会社が倒産すると売上金が回収できなくなる
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信用力の低いサービスは特に注意が必要
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入金サイクルの短縮やサービスの分散は有効な対策
オンライン決済を活用する以上、このリスクはゼロにはできません。
しかし、仕組みを理解し、正しく対策を行うことで大幅に軽減できます。
決済はネットショップの生命線です。
ぜひ本記事を参考に、安心して事業を継続できる環境を整えてください。
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